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GaRiYa Essay

ご長寿猫さんが ワケあり居候 しておりまして Vol.9(通算Vol.300)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    「相談があるっちゃけど…」
    友人からのSOSだった。
    「うちの猫が大声で鳴くごとなったと。病院に連れて行ったら『認知症やろ』って。もう二十二歳やもんねえ…」
    問題はその後だ。
    鳴き声で猫を飼っていることがバレて、
    「このままやったら出ていかないかんごとなると…」

    彼女が長年暮らすUR(公団住宅のことです)は未だにペット飼育禁止という、いわゆる犬猫被差別区域。
    訪れてみるとナルホド、掲示板やエレベーターには、彼女を追いつめてきた貼り紙が「コレデモか!」の勢いで貼られていた。

    「誰か、ちびちゃん預かってくれる人知らんかいな?見つからんかったら安楽死させないかんかいな…私も死ぬ…」
    安楽死とは殺処分の同意語であって、たとえ認知症でもそんなのは、ナイ!
    要するに彼女の精神は、あらぬことを口走るまでに弱りきっていた…とまあソンなコンなの成り行きにより、ちびちゃんが我が家に転がり込んで来た。

    「ちびちゃ〜ん、よろしく〜」
    「アギャ〜!アギャ〜!アギャ〜!アギャ〜!」
    二十二年も暮らしていたママのお家からいきなり連れ出されてしまったのだから、私はいわば誘拐犯。
    「あんた、ちゃんと、解ってるじゃん!」
    「アギャ〜!アギャ〜!」
    ボケてないことはこれにて判明。吠えられてもあたりまえのシチュエーションだったのだ。
    「気持ち、わかるよ!」
    「アギャ〜!アギャ〜!アギャ〜!」
    「わかる!わかる!わかる!」
    「アギャ〜!アギャ〜!アギャ〜!」
    私たちはしばらく、吠え合った。

    こうして付き合ううちに判った。ちびちゃんは確かによく吠えてくれるが、そこには必ず理由があった…不満や要求だ。
    ヒト年齢にしたら優に百歳超えである。
    「生き抜いただけでエラい!」
    というわけで、この歳になれば猫もヒトも(我が母も)遠慮してるヒマこそモッタイナイ。力いっぱい自己主張するわけだ。

    そんなふうに理解すると付き合いやすくなった。たとえばお皿の前で、
    「ウギャ〜!」
    「ごめ〜ん、急ぎま〜す」
    たとえばトイレの前で
    「ウギャ〜!」
    「ごめ〜ん、掃除するの忘れてた!」

    そうするうちに、距離がどんどん縮まっていった。それでも、
    「ちびちゃん、一緒に寝ようか〜」
    「……」
    その時ばかりは、隠れるようにして部屋の隅に居るちびちゃんだった。

    我が家に来て二ヶ月、ちびちゃんが二泊三日の里帰りをした。そうしてママにおもいっきり甘えて、戻った夜のことだった。
    なんとちびちゃんが、私のベッドに居た!
    何かが、ちびちゃんの中で、変わったようだった…。
    しかし、それからのチビちゃんの自己主張は、さらに激しいものとなった。

    「私の枕でしょ、降りて!」
    「アギャ〜!」
    断固として降りない。枕無しでは眠れないんだと叫ぶ。
    「じゃ、半分こづつね」
    と半分だけ頭を載せると、グイグイ頭を押し付けてきて突き落としにかかる。

    ご長寿パワーはやっぱ…凄い。


    一生懸命食べて生きてます Vol.8(通算Vol.299)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

    0

      「シルクちゃ〜ん…サンちゃ〜ん…ジュニア〜…ドタ〜…会いたいよ〜…」
      シルクちゃんファミリーの最後のヒトリであるドタが旅立ってからというもの、暇さえあれば虚空に語りかけている。

      それはそれとして、生きている猫たちとの付き合いも、それはそれなりに忙しい。
      野良たちはワガモノ顔で出入りするし、ワケあり猫のチビちゃんは二十一歳(ヒト年齢、百四歳)にもなって転がり込むし、とっくに死んでるはずのナンシーちゃんはウルサイくらい元気だし…
      (※復活4号にて話し済み。苦しい治療経験がトラウマとなり、長年私を遠ざけてきた猫だ。久しぶりにカワイくニジリ寄って来たかと思えば、末期を彷彿とさせる様相である。「アンタが大嫌いな病院には絶対に連れていかない。安らかに逝きなさい!」と延命治療を放り投げ、余命は一〜二ヶ月と思い込んでいた)…

      要するに、衰弱していく様子は見るに忍びず、自己満足で病院に運び込んだ、というわけだ。すると、
      「糖尿病ですね」
      「なあんだ、糖尿病だったのですか!」

      糖尿病と言ったら生活習慣病の王様じゃないか!
      アノ人も糖尿病コノ人も糖尿病…でも元気そうじゃないか!

      …と安心したのは束の間だった。
      「インシュリン注射を毎朝打っていただきます」
      「え…毎朝通院ですか?」
      ドン引いた。
      「いえ、ご自宅で、ご自分で注射していただきます」
      「…自分で…?」
      「できますよね?」
      「………」
      「打ち方はですね、背中の皮膚をこう持ち上げてですね、根元を刺してくださいね」
      「………」
      …と、インシュリン液&大量の注射器(使い捨て)を持たされはしたが、猫爪 注射針である。どう転んでも、私の勝ち目はなさそうだった。

      恐怖の朝が来た。
      「皮をつまんで引っぱってブスッ…皮をつまんで引っぱってブスッ…」
      注入までのシュミレーションを繰り返した。
      そして、ごはん時を狙って背後を襲った。
      ブスッ!
      ……なんと振り向きもしない。それほど朝ごはんに夢中だった…。

      旺盛な食欲は糖尿病の末期症状らしい。指示された療養食では、
      「ギャア〜ギャア〜!(不味い!ウマいもん食わせろ!)」
      指示された量では、
      「ギャ〜(足りん!餓死する!)」
      いくら食べても満足しない。
      「食べさせる 食べさせない…」
      悩みまくり倒した結果、食べたいものを食べたいだけ食べさせている。

      水器もバケツに変わった。大量に飲んで大量に出す。しかし猫特有のコマッタ尿臭はマッタク無い。
      栄養も水も、ナンシーちゃんのカラダを素通りしてしまう。

      「美味いもんいくら食べても太らんねえ」
      「ニャッ!」
      「いくら飲んでもむくまんねえ」
      「ニャッ!」
      「なんだか羨ましいんですけど」
      「ニャッ!」

      ナンシーちゃんの命が頑張っている。とにかく…頑張っている。


      そして最後… 仏さまと 出会いました Vol.7(通算Vol.298)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

      0

        シルクちゃんファミリーとの28年に渡る日々が、先日ついに幕を閉じた。
        28年も付き合えば、ヒトであれ猫であれイロイロなことがあるものだが、このこたちと共有したイロイロこそ、実にエキサイティングなものだった。
        なにしろ一緒にいる…たったそれだけのことでどうしてあれほど、笑ったり泣いたり心配したり安心したり、そして感動したりができたのだろう…。

        シルクちゃんの〈投身自殺未遂事件〉などは、たぶんマイエキサイティング体験のトップテン入りだ…。

        「あらっシルクちゃんはどこ?」
        と思っていたら、
        「コラ〜〜〜ッ!」と、表が騒がしい。
        なんと、棒を振りかざした女性から、愛猫シルクちゃんが追いかけ回されていた。
        彼女の部屋のドア前で、ウンコをする猫(※野良ちゃんの出入り可能なマンション構造。置糞にはたぶん理由あり)がいたらしく、たまたま歩いていたシルクちゃんが、その濡れ衣を着せられたのだった。

        なんとか女性にはお引きとり願ったものの、極めつけのタイヘンはその後に来た。
        ソバのコンクリート塀からシルクちゃんが、ジャンプしたのだ。

        かろうじて腰を掴んだものの宙ぶらりん状態。地上30mほどの高所である、見下ろすだけでクラクラした。
        ところがシルクちゃんときたら、
        「アギャ〜(手を放せ!僕はもう死ぬ!)」
        ってブンブン身体をよじるわ、バンバン外壁を蹴り上げるわ。
        「ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメエ〜ッ!」
        持ったアングルも悪すぎた。引き上げようにも力がぜんぜん入らない。
        「ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメエ〜ッ!(超絶叫)」
        限界は遥か遠くに越えながらも、愛と涙と火事場のクソヂカラで…引き上げた。

        「辛かったね!気持ち、わかるよ…」
        私も泣いたが、シルクちゃんは、もっと泣いていた。
        猫たちがいかにデリケートな心を持つものかは、この一件で思い知ることとなった。

        シルクちゃんが私にピタリ寄り添うようになったのは、たぶんこの事件からだ。
        どこに行くにもくっついてきた。お風呂にもトイレにもくっついてきた。
        旅先のホテルでは、
        「あ…なんか…胸に…乗ってきた…」
        つまり霊に乗られたという初心霊体験だが、感想としては、
        「べつに〜」
        …むべなるかな、乗り方といいサイズといい重みといい、寸部違わぬシルクちゃんモード。
        「どうやってソウルまで来たの?」
        「ナ〜」
        いわゆる、生き霊ってやつ?

        時は流れ、死期を察したシルクちゃんは、あわててモズクちゃんと子づくりをして、出産を見届けるや発病して、そして、あわてて旅立っていった。
        サンちゃん、ジュニア、ドタ…まさに命のバトンだ。おかげでまた、泣いたり、笑ったり、心配したり、安心したり…と、エキサイティングな日常が戻ってきた。

        そしてまた、時は流れた。ジュニアは十五歳で逝き、サンちゃんは十六歳で逝った。そしてドタは十八歳と三ヶ月…ほんの最近まで、くっつきまくってくれた。

        葬儀は糸島の動愛園だった。たいへん評判の高い霊園ながら、地理的な事情から利用することは無かったのだが、その日のなりゆきで、導かれるようにしてたどり着いた。
        そして拾骨…何度経験してもサイテーな作業だ。
        ところが…これは霊園自体の持つ技量だろうが〈喉仏〉と称される第一頸椎を前に、トリハダが立った。


        小さな骨のカケラごときが、国宝仏にすら感じたことのない仏心を放っていた。

        シルクちゃんファミリーが、最後にくれた感動だった。


        ドタ!ドタ!ドタ〜〜〜〜!  Vol.6(通算Vol.297)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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          一月十七日(日)
          「アオ〜!アオ〜!」
          「どうしたのドタ!?」
          ただならぬ声だった。

          駆け寄った私に顔を向けると、ヨロっと立ち上がり、崩れた。
          「ドタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

          抱きかかえて、夜の動物病院に駆け込んだ。
          わずかな問診とエコー検査。その結果つけられた病名は【心筋症】。

          「どうして?」
          …困惑しながら、
          「そうだよね、しかたないよね」
          …納得してしまう自分もいた。

          ヒト年齢なら九十歳。トシ相応のものがトシ相応に訪れたということだろう。
          うかつにも、フサフサな毛とキラキラな瞳とピンクの肉球に、すっかり騙されていたということか。

          「お薬きちんと飲んでたら大丈夫なんだって。だからきちんと飲もうね!」
          ドタを励ましながら自分を励ましていた。ドタの居ない自分など、考えたくもなかった。

          そして同じ夜…
          「ドタ、おやすみ」
          ところが
          「アオ〜!」
          うめき声で返してきた。
          「痛いの?」
          「アオ〜!アオ〜!」
          怖いよ、怖いよと訴える。
          「だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ…」
          「アオ〜!アオ〜!」
          「だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ…」

          …ついに明け方、大きな発作がドタを襲った。
          「アオ〜!アオ〜!アオ〜!アオ〜!アオ〜!アオ〜!」
          「ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!」
          名前を連呼した。それ以外、してあげられることがなかった。
          やがてドタは力尽きて、のけぞった姿で硬直した。

          「ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ…ドタ…ドタ…!ドタ!ドタ!ドタ…ドタ…ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ…ドタ…ドタ…」

          …どれほど時が経ったろう。
          「ニャ」
          「…ドタ?」
          「…ニャ」
          「ドタ〜〜〜〜〜〜!」
          なんと、生きていた!…ていうか、あんまりシツコク呼ばれるもんだから、お花畑の途中で気が変わって、戻ってきたのかナ…とか思ったりして。

          それからのドタは食欲モリモリで、コッソリ混ぜる薬も難なくペロリ。
          薬が効き始めたのだろうと、すっかり安心していたのだが…。

          二月五日(金)
          帰宅した私を待っていたのは、硬直したドタだった。
          病院に駆け込むと、今度は〈てんかん〉と診断された。脳にまで異常発生ということか…そのための薬がプラスされた。

          二月六日(土)
          ドタは夕刻までコンコンと眠ると、脚どりをフラつかせながらも、真っ直ぐフード皿に突進した。そしてビックリするほど食べてくれたものだから、
          「きっと元気になる!」
          うかつにも私は、また、そう信じた。
          この病気の特色に〈過食〉があるとは、後に知ったことだ。

          二月九日(火)
          この日は、二年前に他界したサンちゃん
          (ドタのきょうだい)の命日だった。
          「ドタ、おはよう」
          「……………」
          「ドタ?」
          「……………」
          「ドタ!」
          「……………」
          「ドタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

          全ての苦しみから解放されたような、とても安らかな眠りだった。
          小さな肩に頬をのせると、微弱な心臓のリズムと柔らかな温もりが伝ってきた。
          私は仕事を放り投げて、片時も離れず寄り添っていた。

          二月十日(水)朝、長澤ドタ…永眠。
               


           

          境内のサンちゃんの 爆笑ショット Vol.5(通算Vol.296)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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            アビィが逝きました。枯れるように、ひっそりと逝ってしまいました。
            ほんの2日前、足をふらつかせながらもわざわざ出窓に上って、凛とした姿勢で外を眺めていたものです。

            「こっちが温かいよ!」
            冷えが気になって移
            すんですが、すぐまた
            戻ってしまいます。
            戻ってまた、外を眺めていました。根負けして、そこにも毛布を敷きました。

            「アヴィ…」
            …涙しながら、私はシャッキリ立ち上がります。
            なにしろ納棺から出棺までの実務作業はぜ〜んぶ飼主のお仕事、サボれません。
            悲嘆と同時進行ですから、けっこうな激務です。

            まずは棺の調達です。
            家じゅうを探し周り、アヴィが寝心地良さそうなバッグを見つけました。

            そして花の調達です。
            ハサミを手に、朝露をかき分け、両手いっぱい集めてきました。田園ライフならではの無料特典です。

            納棺して、蝋燭に火を点け、お線香を焚きました。
            そして、弔辞です…。

            「アヴィ…
            出逢った時のアヴィはホームレス猫だったね。
            駅前の通りであんたを見かけて、私すごく急いでいたけど、たまたまバッグにスルメが入ってたからポンッて投げたら、脇目もふらずに食らいついたね。
            よっぽどお腹が空いてたんだね。
            帰り道でまたあんたを見かけたけど、雑踏に紛れて、通り過ぎた。
            ところが振り向いてビックリ仰天、あんたが一所懸命ついて来てたから。
            私のこと、ずっと待ってたんだね。

            でも、ナンデ?って、不思議だった。
            だってあんた、食べるのに夢中で、私の顔、ほとんど見ちゃいなかったでしょ。
            しかも人がゾロゾロ往来してたし。
            そんなシチュエーションで、よく私が識別できたね。

            聞いていい?
            アヴィって、迷い猫だった?
            …迷うわけないか、チョ〜賢いもん。
            じゃ棄てられた?
            …どっちにしてもタイヘンだったね。
            よくサバイバルしたね。

            運よく里親さんが見つかった。
            独り暮らしの、品のいい高齢女性だった。
            五年くらいお世話になったかな…でも入院が決まって…。

            ま、イロイロあったよね。
            でも、アヴィは負けなかった。
            よく頑張った!
            よく乗り越えた!

            アヴィ…アッチにはサンちゃんたちが居るからね、楽しいよ!」

            そして…出棺…合掌。

            …アッチのサンちゃんと言えば、最近こんなことがありました。
            猿田彦神社(藤崎)の境内を出たところで、カメラを向けている人につられて、私もスマホを向けたんです。

            後日、その画像に、声を上げました。
            「サンちゃん!」
            なんと、光と葉と風が織りなす一瞬のオブジェが、まさに、在りし日のサンちゃんです。

            実はこれと同じ写真が、ずっとデスク横に置かれています。プチ家出から四日ぶりに帰宅した朝の、とても懐かしいショットです。

            「どんだけ心配したと思ってるの!」
            「…アニャ…」
            逃げるように梁に駆け上がったサンちゃんがあんまりかわいくて可笑しくて、シャッターを切りました。

            でも、お気に入りの写真なのに、淋しい気持ちにさせられてきました。
            「この頃は、元気いっぱいだったのにナ…」


            ところが、このサンちゃんは爆笑です。
            マンガ顔の竜の手に、宝物のように抱かれています。

            コジツケは大いに認めつつも、そうとばかりは言いきれません。
            なにしろパパのシルクちゃんは自分の遺体とツーショットして、
            「元気だよ!」
            と、死んでからまで健在をアピールするような猫でしたから、そのDNAを受け継ぐサンちゃんなら、これくらいのオチャメはやりかねないのです。

            サンちゃんが逝って、そろそろ二年です。

            ナンシーちゃんの信頼 Vol.4(通算Vol.295)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

            0
              信頼とは読んで字の如く【信じて頼る】もしくは【信じて頼られる】。
              どっちにしろ生活必需品ですが、うっかりすると失います。

              ことに言い訳の通じない猫が相手だったりすると、信頼回復のタイヘンさはヒトの比ではありません。
              実は…ほんのちょっと前までのナンシーちゃんが、その相手でした。

              ナンシーちゃんにとって、私の手=イジメの手。
              タッチすると【ビクッ】とされて【ブルブルブル】…。
              その異常な震えは、手を離すまで続きました。

              触るたびにそんなでしたから、
              「誤解だよ…」
              …と、つかず離れずの距離感を保ったまま幾星霜…(遠い目をする)。

              ナンシーちゃんとの出逢いは、通勤途上の草むらでした。
              「ミーミー!」
              の呼び声に
              「出ておいで〜出ておいで〜」
              ところが逃げる隠れる逃げ回る…そりゃそうだろ。来て欲しかったのはママで、私じゃなかったわけで…。

              ただナンシーちゃんのカラダはもうボロボロでしたから
              「ちょっと病院に行こうね」
              が半年にも及ぶロング通院となり、完治するとまた
              「ちょっと病院に行こうね」
              …で麻酔から醒めると
              「ニャイ(タマタマが)!」
              以来、猫キャリーを見ただけで逃げ隠れるというありさまです。

              程なくして【猫泌尿器症候群】、つまり尿路を血症が塞いでオシッコが出なくなるという病気ですが、それに罹ってしまったからたまりません。

              治療は壮絶を極めました。
              まず赤トンガラシの先ほどしかない極小オチンチンのアナを目指して管を突き立てるのですが、
              「入りませんねえ…入りませんねえ…無理かもしれませんねえ…」
              と、試行錯誤五〜六回の後、
              「入った!」
              「ホッ…」
              こうして管がネジ込まれると、その後がまたすごかった。破裂寸前の膀胱までグルグリ押し込んで、血症とオシッコの同時吸引です。
              「ナンシーちゃん、頑張って…」
              祈るしかない私でした。

              やがて麻酔から醒めたナンシーちゃんに、笑顔でこう呼びかけました。
              「よかったね!オシッコが出るよ!」
              ところが
              「ウギャア〜ッ!」
              「なんで怒ってるの?」

              術後検診では院内を逃げまわり、精密医療機器をガシャガシャ蹴散らしてまで元気さをアピール(苦笑)。
              そしてこの時、【ビクッ】【ブルブルブル…】つまり【私のタッチ→病院→イジメ】というトラウマな図式が、描かれてしまったというわけです。
              「誤解だよ〜」
              「アギャ〜!」
              …と、いう流れです。

              ところがそんなナンシーちゃんの心にも、氷解の時が訪れました。
              なんと一歩また一歩…と、歩み寄って来たじゃありませんか。

              タッチすると【ビクッ】そして【ブルブルブル…】は相変わらずでしたが、離すとグリグリ押してくる。
              「えっいいの?…じゃあ遠慮なく、ナデナデナデナデナデナデ…」
              「…………(歯をくいしばっている感じ)」

              こうしてトラウマとの戦いに勝利したナンシーちゃんは、早くも私のオッカケ隊長。
              寝位置も私の足もと→膝→ベッドと進化を繰り返し、ドタから時々
              「アギャ〜!…フ〜ッ!」
              …怒られています。

              でも今度は私が、【ビクッ】の番になりました。ご長寿というのもあるでしょうが、背骨・肩甲骨・尾骶骨の感触が日を追うごとにクッキリして、さほど長くない命を感じさせます。

              そして、ふと思うのです。
              これがもしトラウマ克服の引き金だったとすれば、心のどこかでは、ずっと信頼してくれていた…?

              でも、病院行きはもう無しです。
              ナンシーちゃんがあれほど頑張って取り戻してくれた信頼。手放すわけにはいきませんので。

              ドタと私(最終話) vol.291

              0
                ドタは何を考えているんだろう…家族たちを次々と亡くして独りぼっちになってしまったわりには食欲も旺盛、落ち込んだ様子は少しも見せません。

                美容にも手抜きなく、今もせっせせっせとグルーミング中です。
                「ドタ〜」
                すると振り向いて、
                「アニャ〜」

                しかしそんなドタにも、変化はやはり、あったのです。

                会社から帰宅した私は、とりあえず母やアビーが待つ居間に立ち寄ります。
                なりゆき、ご飯を食べたりニュースをチェックしたりお風呂に入ったりしていれば、部屋に向かうのはたいてい深夜です。

                そして、
                「そろそろ寝ましょ」
                と、階段に足をかけるや…
                「アギャッ〜!アギャッ〜!」
                …階上からドタが睨み下ろしています。

                「ごめんごめん!」
                「アギャ〜!」
                「ごめんってば!」
                私は言い訳しながら上って行きます。
                「アギャ〜!」
                「疲れてヨレヨレで…」
                「アギャ〜」
                「ご飯も食べなきゃね」
                「アギャ〜!」

                なかなか部屋に戻らなかったことへの抗議です。
                「私が帰ってるの知ってたら、なんで迎えに来ないの?あんたのほうこそ、降りて来ればよかったでしょ!」
                「アギャ〜!」

                そう、ドタは降りて来ないんです。
                サンちゃんが逝った時を境に、部屋にこもるようになったのです。
                この件については母も、
                「ドタはなして、降りて来んごとなったっちゃろか?」
                と、首をかしげます。

                いずれにしても私は、こうして文句を言われることで、ようやくドタの寂しさに気付いたようなぐあいでした。

                パパ(シルク)もママ(モズク)も兄ちゃんたち(サンちゃん・ジュニア)も、皆んな逝ったきり、帰って来ない。

                それで帰りを待っているんです。
                ただひたすらに、私の帰りを待っているんです。

                待って待って待ちくたびれて…階下の玄関ドアが開く音を聞くたび、
                「ニャッ〔帰ってきた!)」
                と、安堵するのでしょう。

                ところが私ときたら、一階の居間で止まったまんま、二時間たっても三時間たっても上がって来ない!

                痺れを切らしたドタは部屋を出ます。
                そして階下を見下ろしながら、私が上がって来るのを、ジッと待つのです。
                時には三時間も四時間も待っています。
                文句さえ言わなきゃ、猫版【忠犬ハチ公】です。

                ベッドに入ると一転、ガールズトークです。
                「今日、◯◯が××しちゃってね。」
                「アニャ〜」
                「△△で□□□なの。」
                「ウニャッ、ウニャッ…」

                とにかくドタはたいへんな聞き上手で、相づち上手(たぶん猫全般)。話しながらグリグリ顔をくっつけて来ます。
                「ありがとうね…」
                「アニャ…」

                その日がどんなに過激であっても、私の一日はこうして穏やかに、閉じていくのです。

                【皆様へ】
                永らくお愛読頂きました猫エッセイですが、突然の出来事やら何やらで、いきなり最終回となりました。これまでご愛読、ありがとうございました。
                しかし我ながら「二九一回も、よくぞ!」です(エルフ時代を加えると愛猫エピソードはさらにあり、他に【小鳥のジョナサン】シリーズ、【うさぎの健ちゃん】シリーズなども)。
                「最初から読みたいので本にしてください」という声もよく頂戴しましたが、いずれ気持と時間に余裕ができましたら、考えてみようと思います。
                では皆さん、ごきげんよう、さようなら……ここに登場した全ての動物たちとともに。

                (長澤 由起子)

                写真キャプション►皆様ごきげんよう…。

                骨壷をギュッ! vol.290

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                  私がパソコンをONにすると、サンちゃんはその横でOFFに…。
                  デスクワークとサンちゃんはいつもセットでしたから、こうしてノートパソコンに向かうたび、気持がドボンと凹みます。

                  キーボードすれすれに置いたサンちゃんの頭は、やがて、【タブキー】【コントロールキー】【シフトキー】にまで及んで来ましたから、左手をサンちゃんの顔にぶつけながらキーボードを叩き続ける私がいて、ぶつけられながら眠るサンちゃんがいました。

                  そのうち私が疲れてくると、今度はサンちゃんが枕です。
                  「疲れたよ〜」
                  と、ドッカリ被さります。
                  柔らかくて温かくて、まさに理想の枕でした。嫌がることなく、眠った(フリ)ままでいてくれました。

                  この【キーボード+私+サンちゃん】という三位一体のオシゴト法は、シルクちゃん(サンちゃんのパパ)の時代まで遡ります。
                  つまり四半世紀余りを愛猫に寄り添われて、キーボードを叩いてきたわけですから、この喪失感は尋常ではありません。
                  「サンちゃ〜ん…」

                  しかしまあ、実に沢山の猫たちを見送ってきたものです。
                  納骨堂の棚を二つ借りていますが、どっちの棚も骨壺たちで、ギュウギュウ詰めになってしまいました。
                  サンちゃんの骨壺をそこに加えようにも、もう入りません。

                  そこで私、
                  「入らないなら仕方無し」
                  と迷わず決心。
                  「サンちゃんは自宅で供養します!」
                  …と。

                  つまり骨壷、持ち帰ってきちゃいました。

                  なりゆき、
                  「サンちゃんを持ち帰るならシルクちゃん(サンちゃんのパパ〕の骨壷も持ち帰らなきゃ!」
                  「シルクちゃんを持ち帰るなら、モズクちゃん(サンちゃんのママ〕の骨壷も持ち帰らなきゃ!」
                  「モズクちゃんを持ち帰るならジュニア〔サンちゃんの兄弟)の骨壷も持ち帰らなきゃ!」
                  ということで、部屋はなんだか【シルクちゃんファミリー】の骨壺たちで賑やかになっています。

                  朝と夜はキャンドルに火を灯し、お線香を炊いてます。
                  フードも水も欠かしません。
                  抱っこ大好き猫のサンちゃんでしたから、骨壷をギュって、抱きしめたりもしています。
                  「あんなにフワフワだったのに、ずいぶん感触、変わっちゃったね…」

                  シルクちゃんの血をひく最後の一匹が、私のベッドで眠っています。
                  私にはまだ、ドタが居てくれました。

                  「ドタ〜」
                  「うにゃ〜(は〜い)」
                  返事はとてもよろしいんですが、
                  「こっち、おいで!」
                  と言っても、
                  「ニャ〜(いや〜)」
                  …パソコンにだけは決して近付きません。

                  ここは今も変わらずサンちゃんの寝場所…ドタにはちゃんと、解っているのです。


                  (長澤 由起子)

                  写真キャプション►不思議現象:シルクちゃんの血を継ぐ最後の一匹、ドタちゃん(♀)です。ドタちゃんは母親似(きれい顔)でサンちゃん(♂)は父親似(癒し顔〕で、まったく印象の違う顔をしているんですが、この顔は不思議にもまさしくサンちゃんです。

                  サンちゃんまた私に、来るんだよ! vol.289

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                    丸かった顔はトンがって、クリクリだった目は細めになって、フッサリだった被毛はペションとなって、柔らかだったボディからはゴツゴツした骨の感触…それが今のサンちゃんです。

                    ここ半年ほどでしょうか、サンちゃんは私の肩にピタリ頭を寄せて、すがりつくような格好で眠るのでした。

                    膝に乗る時もそうでした。
                    隠れ場所を探すみたいに、顔をグリグリ埋めてくるんです。
                    診察台に乗せられた時と同じ仕草です。

                    キーボードの手を休めて上着の前を開き、そんなサンちゃんを隠すように包み込んだものでした。

                    愛しさが、私の中に充満します。
                    充満したまま出口を失い、腹に、胸に、背に、両腕に、肩に、喉に、目に、鼻に…ジ〜ンジ〜ンジ〜ンジ〜ン…疼痛となって、響くのです。

                    「もって、一週間でしょうね」
                    今朝がた獣医さんから言われた言葉です。転院して少しは希望を持っていたのに、あっさりアウト。
                    要するにサンちゃんは今、危篤状態にあるわけです。
                    しかしここに至って、苦しみはマッタク見せません。
                    それが、どれほどの救いであることか。

                    まあよく、眠ること眠ること。
                    柔らかな猫ベッドで寛ぐように、表情がとても穏やかです。
                    もうこのまま逝っちゃうのかな…と思いながら、私はパソコンに向かっていました。

                    ところがなんと、いきなりヨロヨロって立ち上がって、ウロウロウロウロ…
                    「サンちゃん何?どこ行きたいの?」
                    「…………………………………」
                    もう声は無く、目も開きません。
                    でも、何かを探している様子です。
                    「どこ行きたいの?」
                    「…………………………………」
                    それで膝に乗せたところ…ビンゴ!

                    というわけで、サンちゃんは今、私の膝で眠っています。
                    もちろん、この体位でキーボードを叩くのってけっこうしんどいんです。でも長年の習慣です。慣れているんです。

                    キーボードの手を休めては、繰り返しこう、話しかけています。
                    「私もいつか行くから、待ってるんだよ。もし待ちきれなくなったら、また必ず私のところに来るんだよ。またきっと会えるよ。いっときだけのサヨナラだよ」

                    そうなんです。サヨナラしても、いっときなんです。
                    そもそも、これほど強い絆で結ばれた者たちに、永久の別れなどあろうはずもなく。

                    真実、シルクちゃん(サンちゃんのパパ、十六年と二ヶ月前に他界)は死んでしまってからも、色んなやり方で私を励まし続けてくれました。
                    でもシルクちゃんの本当のエールは、サンちゃんだったような気がしてます。
                    「猫がそこまでやるか?」
                    と思われるでしょうが、やったんです。自分の身代わりに置いていったんです。

                    姿だけでなく、やることなすことソックリで、いつ頃からか、サンちゃんがシルクちゃんに重なり、シルクちゃんがサンちゃんに重なり、一匹の猫になりました。
                    九歳+十六歳=二十五歳。

                    つまり一匹の白猫が、四半世紀余りを私にピタリ、寄り添ってくれたのです。

                    サンちゃんはこの翌日の
                    2月9日(日)夜
                    眠ったまま、旅立ちました。

                    (長澤 由起子)

                    写真キャプション►仕事する私のノートパソコンは、サンちゃんの枕でした。
                             いつもいつも、そばに居てくれました。

                    食は語る vol.288

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                      猫たちの体調は、ゴハンの時に判ります。
                      きちんと食べてくれればひと安心。
                      食べなければ…おおごとです。

                      …で、このところサンちゃんのゴハンからは特に、目が離せなくなりました。
                      もともと大食いのサンちゃんですから、体調さえ良ければ、ドタの食べ残しまで平らげるうえに、
                      「アニャ〜(おかわり〜〜〜〜)」
                      と、ねだります。

                      とにかく呆れるほどよく食べるんですが、そんな姿に、私は大喜びしてきました。
                      サンちゃんの元気が見えるからです。

                      ところがこの年末、そんなサンちゃんのフード皿にまた、食べ残しが目立ち始めたからおおごとでした!

                      「このフード、飽きちゃった?」
                      「………」
                      「じゃ、このフードはどう?」
                      「…………」
                      「なら、このフードは?」
                      「………」
                      「これ、高かったんだよ…」

                      あわてて病院に連れ込みました。

                      「三千二百グラム…」
                      なんと、前回の計測から七百グラムの減量です。

                      原因はやはり、歯痛でした(腎臓のトラブルにより麻酔は危険ということで、歯科治療の断念を余儀なくされています…涙)。

                      そこで通算三度目となる抗生物質の投与が始まったというわけですが、悲しいかな、単なる一時しのぎです。
                      一縷の望みを抱こうにも、
                      「続けるうちに効かなくなってきますからね」
                      と釘を刺され、
                      「もし明日も悪いようでしたら、点滴に来てください」
                      とまで…(もう薬が効かなくなる頃と思ってるらしい)。

                      しかし、今回も何とか効いてくれまして、ドタの食べ残しまで平らげてくれまして、
                      「あにゃ〜!」
                      と、おかわりまでしてくれます。

                      こうしてとりあえず安心したところで、次はドタの心配です。
                      あまりの食の細さが、ようやく気になってきたというわけです。

                      ところがドタは違いました。
                      被毛ツヤツヤ、瞳キラキラ、歯ピカピカ…つまり健康そのものでありまして、とても十六歳には見えません。たぶん、
                      「三歳で〜す」
                      とか、大サバ読んでも通ります。

                      しかし、この脅威の若さをキープするためにも、しっかり食べさせなきゃいけません。それで、
                      「サンちゃんごめん!」
                      とフード皿を取り返しまして、
                      「ドタ〜、もっと食べなさ〜い!」
                      と呼びかけました。

                      ところがです!
                      いくら呼ぼうと命令しようと、頑なに背中を向けたままノーアンサー…。
                      「ドタ〜〜〜!ドタ〜〜!ドタ〜〜!…」
                      「………………………」

                      「この意固地さはいったい、なぜ?!」
                      ってなもんでした。

                      仕方なくフード持参で歩み寄りまして、
                      「残さず、しっかり食べなさい!」
                      と、ドタの前に置いたところ…
                      さらなる
                      「なぜ?!」
                      の簿発です!

                      食べる食べる!
                      ガツガツ食べる!
                      モーレツに食べる!
                      飢餓猫のように食べる!
                      その食べっぷりたるや、サンちゃんの大食いどころじゃなかったんです。

                      ところで、これら一連の
                      「なぜ?」
                      に対する回答は、その後の観察から、次のように推測されます。

                      ●食べきれないフリをして、サンちゃんに譲っていた(おそらく盗られていた)。

                      ●フードから距離を置き、頑なに背を向けることで、空腹感を一所懸命こらえていた。

                      しかし、疑問はまだ残ります。
                      「あんなに食べたかったのに、どうしてガマンできたの?」
                      「………………………」
                      「ナグモ式とか?」
                      「ニャ」
                      …………………………ありえん。

                      (長澤 由起子)

                      写真キャプション►左がドタちゃん、右がサンちゃんです。

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