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GaRiYa Essay

ちびちゃんの帰省 Vol.11(通算Vol.302)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    「住宅事情が整うまでお願い!」「仕方ないわねえ」

     

    …と、そんないきさつで昨年四月、高齢猫(二十二歳)のちびちゃんが転がり込んできたわけですが、まあ…ハッキリ言って、たいへんな猫でした。

     

    たとえば、私がデスクにつくなりヒザに飛び乗って来るのですが、重いだけではありません。

    「キーボードが、見えな〜〜い!」


    しかしヒト年齢にして優に百歳を超えるご長寿さまです。ジッと我慢の私でした。


    「そろそろ降りて」

    「アギャ(イヤッ)」

    …降りません…

    どころか、脚を組んで凸凹ヒザにしても、落っこちません。必死にシガミ付いてくるんです。爛モチイイ場所大好き〞な猫の本質からはあまりにもズレた甘えっぷりでした。


    「性格、変わったとやろか…」

    そんな私からの爛瓠璽詁報〞に首をひねるママでした。と申しますのも、本来の性格はなんとチョ〜無愛想なヒトミシリさん。

    ママ以外のヒトが近づこうもんなら姿を隠してしまうような猫だったのです。


    「さすが長澤さん!」

    と絶賛されながらも腑に落ちません。

    ママの手のひらでミルクで命をつないだちびちゃんです。以来二十二年もの歳月を、寄り添って暮らしてきた家族なのです。


    そんなちびちゃんがママを離れたら、どういう気持になるでしょう。


    「コレってもしや、心理学で言うところの狢綵行為〞ってやつ?」

    つまり、

    「ママに甘えたい、私を離さないで!」

    という強い欲求が、曲がり曲がって私に向いた…

    「ナルホド〜!」

    というわけで、

    「ちびちゃん、ガンバろう!」

    「アギャア〜」

     

    季節は移り、十二月になりました。
    「今月はきっと、帰れるよ」
    「アギャア〜!」
    「も〜い〜くつ寝たら、帰れるよ〜♫」
    「アギャア〜!」
    この頃のちびちゃんはどうしたことか、
    「ホントに二十二歳?」
    と思うほどの若返りようだったのです。


    そして十二月中旬、待ちに待った爐迎え〞の報せです。
    ところがどっこい。
    「長澤さんに、これ以上迷惑かけられんけん、大分の実家に頼んでみたとよ。そしたらチビちゃん、預かってくれるって。弟の嫁さんが、もの凄い動物好きやけん、安心して預けられるとよ」
    …しばし絶句。そして怒った。
    「ちびちゃんは、ママのところに帰るのを楽しみにしてたのよ!また別の所に預けるつもり?どれだけちびちゃんが傷つくか、わかってるの?」
    「…どうしようもないと…二十三日にちびちゃんを迎えに行きます!」
    いくら反対しようにも、もう、車の手配から何から何まで、全ての段取りが整っていたのです。

     

    「大分…行きたくないね」
    「アギャア〜」
    「ママの所に帰りたいね…」
    「アギャア〜」

     

    そして、大分行きを目前にした夜でした。
    「ママの準備が整うまでずっと私と暮らそうか?」
    「アギャア〜」
    「じゃこれからママに、そうメールするよ」
    「…アギャ」

     

    ところがまさに、その直後でした。あらんことかちびちゃんの体に、マサカの異変が起きたのです。
    そして、さらにあらんことか、ママへと急ぐタクシーの中、私のヒザにシガミ付いていたちびちゃんの命がポロリ…落っこちてしまったのです…(涙)

     

    でも、ちびちゃんをママの手に渡したとき不思議なことが起こりました。
    「クッ」
    ちびちゃんの体から、小さな音が洩れたのです。
    とても小さな音でしたが、ママもそれは、聞き逃しませんでした。

     

    「待っててくれたんやね…」
    そう言ってママが、泣きました。
    「やっとママのとこに戻れたね…」
    そう言って私は、笑い泣きしました