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GaRiYa Essay

ご長寿猫さんが ワケあり居候 しておりまして Vol.9(通算Vol.300)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    「相談があるっちゃけど…」
    友人からのSOSだった。
    「うちの猫が大声で鳴くごとなったと。病院に連れて行ったら『認知症やろ』って。もう二十二歳やもんねえ…」
    問題はその後だ。
    鳴き声で猫を飼っていることがバレて、
    「このままやったら出ていかないかんごとなると…」

    彼女が長年暮らすUR(公団住宅のことです)は未だにペット飼育禁止という、いわゆる犬猫被差別区域。
    訪れてみるとナルホド、掲示板やエレベーターには、彼女を追いつめてきた貼り紙が「コレデモか!」の勢いで貼られていた。

    「誰か、ちびちゃん預かってくれる人知らんかいな?見つからんかったら安楽死させないかんかいな…私も死ぬ…」
    安楽死とは殺処分の同意語であって、たとえ認知症でもそんなのは、ナイ!
    要するに彼女の精神は、あらぬことを口走るまでに弱りきっていた…とまあソンなコンなの成り行きにより、ちびちゃんが我が家に転がり込んで来た。

    「ちびちゃ〜ん、よろしく〜」
    「アギャ〜!アギャ〜!アギャ〜!アギャ〜!」
    二十二年も暮らしていたママのお家からいきなり連れ出されてしまったのだから、私はいわば誘拐犯。
    「あんた、ちゃんと、解ってるじゃん!」
    「アギャ〜!アギャ〜!」
    ボケてないことはこれにて判明。吠えられてもあたりまえのシチュエーションだったのだ。
    「気持ち、わかるよ!」
    「アギャ〜!アギャ〜!アギャ〜!」
    「わかる!わかる!わかる!」
    「アギャ〜!アギャ〜!アギャ〜!」
    私たちはしばらく、吠え合った。

    こうして付き合ううちに判った。ちびちゃんは確かによく吠えてくれるが、そこには必ず理由があった…不満や要求だ。
    ヒト年齢にしたら優に百歳超えである。
    「生き抜いただけでエラい!」
    というわけで、この歳になれば猫もヒトも(我が母も)遠慮してるヒマこそモッタイナイ。力いっぱい自己主張するわけだ。

    そんなふうに理解すると付き合いやすくなった。たとえばお皿の前で、
    「ウギャ〜!」
    「ごめ〜ん、急ぎま〜す」
    たとえばトイレの前で
    「ウギャ〜!」
    「ごめ〜ん、掃除するの忘れてた!」

    そうするうちに、距離がどんどん縮まっていった。それでも、
    「ちびちゃん、一緒に寝ようか〜」
    「……」
    その時ばかりは、隠れるようにして部屋の隅に居るちびちゃんだった。

    我が家に来て二ヶ月、ちびちゃんが二泊三日の里帰りをした。そうしてママにおもいっきり甘えて、戻った夜のことだった。
    なんとちびちゃんが、私のベッドに居た!
    何かが、ちびちゃんの中で、変わったようだった…。
    しかし、それからのチビちゃんの自己主張は、さらに激しいものとなった。

    「私の枕でしょ、降りて!」
    「アギャ〜!」
    断固として降りない。枕無しでは眠れないんだと叫ぶ。
    「じゃ、半分こづつね」
    と半分だけ頭を載せると、グイグイ頭を押し付けてきて突き落としにかかる。

    ご長寿パワーはやっぱ…凄い。