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GaRiYa Essay

そして最後… 仏さまと 出会いました Vol.7(通算Vol.298)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    シルクちゃんファミリーとの28年に渡る日々が、先日ついに幕を閉じた。
    28年も付き合えば、ヒトであれ猫であれイロイロなことがあるものだが、このこたちと共有したイロイロこそ、実にエキサイティングなものだった。
    なにしろ一緒にいる…たったそれだけのことでどうしてあれほど、笑ったり泣いたり心配したり安心したり、そして感動したりができたのだろう…。

    シルクちゃんの〈投身自殺未遂事件〉などは、たぶんマイエキサイティング体験のトップテン入りだ…。

    「あらっシルクちゃんはどこ?」
    と思っていたら、
    「コラ〜〜〜ッ!」と、表が騒がしい。
    なんと、棒を振りかざした女性から、愛猫シルクちゃんが追いかけ回されていた。
    彼女の部屋のドア前で、ウンコをする猫(※野良ちゃんの出入り可能なマンション構造。置糞にはたぶん理由あり)がいたらしく、たまたま歩いていたシルクちゃんが、その濡れ衣を着せられたのだった。

    なんとか女性にはお引きとり願ったものの、極めつけのタイヘンはその後に来た。
    ソバのコンクリート塀からシルクちゃんが、ジャンプしたのだ。

    かろうじて腰を掴んだものの宙ぶらりん状態。地上30mほどの高所である、見下ろすだけでクラクラした。
    ところがシルクちゃんときたら、
    「アギャ〜(手を放せ!僕はもう死ぬ!)」
    ってブンブン身体をよじるわ、バンバン外壁を蹴り上げるわ。
    「ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメエ〜ッ!」
    持ったアングルも悪すぎた。引き上げようにも力がぜんぜん入らない。
    「ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメエ〜ッ!(超絶叫)」
    限界は遥か遠くに越えながらも、愛と涙と火事場のクソヂカラで…引き上げた。

    「辛かったね!気持ち、わかるよ…」
    私も泣いたが、シルクちゃんは、もっと泣いていた。
    猫たちがいかにデリケートな心を持つものかは、この一件で思い知ることとなった。

    シルクちゃんが私にピタリ寄り添うようになったのは、たぶんこの事件からだ。
    どこに行くにもくっついてきた。お風呂にもトイレにもくっついてきた。
    旅先のホテルでは、
    「あ…なんか…胸に…乗ってきた…」
    つまり霊に乗られたという初心霊体験だが、感想としては、
    「べつに〜」
    …むべなるかな、乗り方といいサイズといい重みといい、寸部違わぬシルクちゃんモード。
    「どうやってソウルまで来たの?」
    「ナ〜」
    いわゆる、生き霊ってやつ?

    時は流れ、死期を察したシルクちゃんは、あわててモズクちゃんと子づくりをして、出産を見届けるや発病して、そして、あわてて旅立っていった。
    サンちゃん、ジュニア、ドタ…まさに命のバトンだ。おかげでまた、泣いたり、笑ったり、心配したり、安心したり…と、エキサイティングな日常が戻ってきた。

    そしてまた、時は流れた。ジュニアは十五歳で逝き、サンちゃんは十六歳で逝った。そしてドタは十八歳と三ヶ月…ほんの最近まで、くっつきまくってくれた。

    葬儀は糸島の動愛園だった。たいへん評判の高い霊園ながら、地理的な事情から利用することは無かったのだが、その日のなりゆきで、導かれるようにしてたどり着いた。
    そして拾骨…何度経験してもサイテーな作業だ。
    ところが…これは霊園自体の持つ技量だろうが〈喉仏〉と称される第一頸椎を前に、トリハダが立った。


    小さな骨のカケラごときが、国宝仏にすら感じたことのない仏心を放っていた。

    シルクちゃんファミリーが、最後にくれた感動だった。