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GaRiYa Essay

ドタ!ドタ!ドタ〜〜〜〜!  Vol.6(通算Vol.297)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    一月十七日(日)
    「アオ〜!アオ〜!」
    「どうしたのドタ!?」
    ただならぬ声だった。

    駆け寄った私に顔を向けると、ヨロっと立ち上がり、崩れた。
    「ドタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

    抱きかかえて、夜の動物病院に駆け込んだ。
    わずかな問診とエコー検査。その結果つけられた病名は【心筋症】。

    「どうして?」
    …困惑しながら、
    「そうだよね、しかたないよね」
    …納得してしまう自分もいた。

    ヒト年齢なら九十歳。トシ相応のものがトシ相応に訪れたということだろう。
    うかつにも、フサフサな毛とキラキラな瞳とピンクの肉球に、すっかり騙されていたということか。

    「お薬きちんと飲んでたら大丈夫なんだって。だからきちんと飲もうね!」
    ドタを励ましながら自分を励ましていた。ドタの居ない自分など、考えたくもなかった。

    そして同じ夜…
    「ドタ、おやすみ」
    ところが
    「アオ〜!」
    うめき声で返してきた。
    「痛いの?」
    「アオ〜!アオ〜!」
    怖いよ、怖いよと訴える。
    「だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ…」
    「アオ〜!アオ〜!」
    「だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ…」

    …ついに明け方、大きな発作がドタを襲った。
    「アオ〜!アオ〜!アオ〜!アオ〜!アオ〜!アオ〜!」
    「ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!」
    名前を連呼した。それ以外、してあげられることがなかった。
    やがてドタは力尽きて、のけぞった姿で硬直した。

    「ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ…ドタ…ドタ…!ドタ!ドタ!ドタ…ドタ…ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ!ドタ…ドタ…ドタ…」

    …どれほど時が経ったろう。
    「ニャ」
    「…ドタ?」
    「…ニャ」
    「ドタ〜〜〜〜〜〜!」
    なんと、生きていた!…ていうか、あんまりシツコク呼ばれるもんだから、お花畑の途中で気が変わって、戻ってきたのかナ…とか思ったりして。

    それからのドタは食欲モリモリで、コッソリ混ぜる薬も難なくペロリ。
    薬が効き始めたのだろうと、すっかり安心していたのだが…。

    二月五日(金)
    帰宅した私を待っていたのは、硬直したドタだった。
    病院に駆け込むと、今度は〈てんかん〉と診断された。脳にまで異常発生ということか…そのための薬がプラスされた。

    二月六日(土)
    ドタは夕刻までコンコンと眠ると、脚どりをフラつかせながらも、真っ直ぐフード皿に突進した。そしてビックリするほど食べてくれたものだから、
    「きっと元気になる!」
    うかつにも私は、また、そう信じた。
    この病気の特色に〈過食〉があるとは、後に知ったことだ。

    二月九日(火)
    この日は、二年前に他界したサンちゃん
    (ドタのきょうだい)の命日だった。
    「ドタ、おはよう」
    「……………」
    「ドタ?」
    「……………」
    「ドタ!」
    「……………」
    「ドタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

    全ての苦しみから解放されたような、とても安らかな眠りだった。
    小さな肩に頬をのせると、微弱な心臓のリズムと柔らかな温もりが伝ってきた。
    私は仕事を放り投げて、片時も離れず寄り添っていた。

    二月十日(水)朝、長澤ドタ…永眠。