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GaRiYa Essay

ナンシーちゃんの信頼 Vol.4(通算Vol.295)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    信頼とは読んで字の如く【信じて頼る】もしくは【信じて頼られる】。
    どっちにしろ生活必需品ですが、うっかりすると失います。

    ことに言い訳の通じない猫が相手だったりすると、信頼回復のタイヘンさはヒトの比ではありません。
    実は…ほんのちょっと前までのナンシーちゃんが、その相手でした。

    ナンシーちゃんにとって、私の手=イジメの手。
    タッチすると【ビクッ】とされて【ブルブルブル】…。
    その異常な震えは、手を離すまで続きました。

    触るたびにそんなでしたから、
    「誤解だよ…」
    …と、つかず離れずの距離感を保ったまま幾星霜…(遠い目をする)。

    ナンシーちゃんとの出逢いは、通勤途上の草むらでした。
    「ミーミー!」
    の呼び声に
    「出ておいで〜出ておいで〜」
    ところが逃げる隠れる逃げ回る…そりゃそうだろ。来て欲しかったのはママで、私じゃなかったわけで…。

    ただナンシーちゃんのカラダはもうボロボロでしたから
    「ちょっと病院に行こうね」
    が半年にも及ぶロング通院となり、完治するとまた
    「ちょっと病院に行こうね」
    …で麻酔から醒めると
    「ニャイ(タマタマが)!」
    以来、猫キャリーを見ただけで逃げ隠れるというありさまです。

    程なくして【猫泌尿器症候群】、つまり尿路を血症が塞いでオシッコが出なくなるという病気ですが、それに罹ってしまったからたまりません。

    治療は壮絶を極めました。
    まず赤トンガラシの先ほどしかない極小オチンチンのアナを目指して管を突き立てるのですが、
    「入りませんねえ…入りませんねえ…無理かもしれませんねえ…」
    と、試行錯誤五〜六回の後、
    「入った!」
    「ホッ…」
    こうして管がネジ込まれると、その後がまたすごかった。破裂寸前の膀胱までグルグリ押し込んで、血症とオシッコの同時吸引です。
    「ナンシーちゃん、頑張って…」
    祈るしかない私でした。

    やがて麻酔から醒めたナンシーちゃんに、笑顔でこう呼びかけました。
    「よかったね!オシッコが出るよ!」
    ところが
    「ウギャア〜ッ!」
    「なんで怒ってるの?」

    術後検診では院内を逃げまわり、精密医療機器をガシャガシャ蹴散らしてまで元気さをアピール(苦笑)。
    そしてこの時、【ビクッ】【ブルブルブル…】つまり【私のタッチ→病院→イジメ】というトラウマな図式が、描かれてしまったというわけです。
    「誤解だよ〜」
    「アギャ〜!」
    …と、いう流れです。

    ところがそんなナンシーちゃんの心にも、氷解の時が訪れました。
    なんと一歩また一歩…と、歩み寄って来たじゃありませんか。

    タッチすると【ビクッ】そして【ブルブルブル…】は相変わらずでしたが、離すとグリグリ押してくる。
    「えっいいの?…じゃあ遠慮なく、ナデナデナデナデナデナデ…」
    「…………(歯をくいしばっている感じ)」

    こうしてトラウマとの戦いに勝利したナンシーちゃんは、早くも私のオッカケ隊長。
    寝位置も私の足もと→膝→ベッドと進化を繰り返し、ドタから時々
    「アギャ〜!…フ〜ッ!」
    …怒られています。

    でも今度は私が、【ビクッ】の番になりました。ご長寿というのもあるでしょうが、背骨・肩甲骨・尾骶骨の感触が日を追うごとにクッキリして、さほど長くない命を感じさせます。

    そして、ふと思うのです。
    これがもしトラウマ克服の引き金だったとすれば、心のどこかでは、ずっと信頼してくれていた…?

    でも、病院行きはもう無しです。
    ナンシーちゃんがあれほど頑張って取り戻してくれた信頼。手放すわけにはいきませんので。