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GaRiYa Essay

ドタと私(最終話) vol.291

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    ドタは何を考えているんだろう…家族たちを次々と亡くして独りぼっちになってしまったわりには食欲も旺盛、落ち込んだ様子は少しも見せません。

    美容にも手抜きなく、今もせっせせっせとグルーミング中です。
    「ドタ〜」
    すると振り向いて、
    「アニャ〜」

    しかしそんなドタにも、変化はやはり、あったのです。

    会社から帰宅した私は、とりあえず母やアビーが待つ居間に立ち寄ります。
    なりゆき、ご飯を食べたりニュースをチェックしたりお風呂に入ったりしていれば、部屋に向かうのはたいてい深夜です。

    そして、
    「そろそろ寝ましょ」
    と、階段に足をかけるや…
    「アギャッ〜!アギャッ〜!」
    …階上からドタが睨み下ろしています。

    「ごめんごめん!」
    「アギャ〜!」
    「ごめんってば!」
    私は言い訳しながら上って行きます。
    「アギャ〜!」
    「疲れてヨレヨレで…」
    「アギャ〜」
    「ご飯も食べなきゃね」
    「アギャ〜!」

    なかなか部屋に戻らなかったことへの抗議です。
    「私が帰ってるの知ってたら、なんで迎えに来ないの?あんたのほうこそ、降りて来ればよかったでしょ!」
    「アギャ〜!」

    そう、ドタは降りて来ないんです。
    サンちゃんが逝った時を境に、部屋にこもるようになったのです。
    この件については母も、
    「ドタはなして、降りて来んごとなったっちゃろか?」
    と、首をかしげます。

    いずれにしても私は、こうして文句を言われることで、ようやくドタの寂しさに気付いたようなぐあいでした。

    パパ(シルク)もママ(モズク)も兄ちゃんたち(サンちゃん・ジュニア)も、皆んな逝ったきり、帰って来ない。

    それで帰りを待っているんです。
    ただひたすらに、私の帰りを待っているんです。

    待って待って待ちくたびれて…階下の玄関ドアが開く音を聞くたび、
    「ニャッ〔帰ってきた!)」
    と、安堵するのでしょう。

    ところが私ときたら、一階の居間で止まったまんま、二時間たっても三時間たっても上がって来ない!

    痺れを切らしたドタは部屋を出ます。
    そして階下を見下ろしながら、私が上がって来るのを、ジッと待つのです。
    時には三時間も四時間も待っています。
    文句さえ言わなきゃ、猫版【忠犬ハチ公】です。

    ベッドに入ると一転、ガールズトークです。
    「今日、◯◯が××しちゃってね。」
    「アニャ〜」
    「△△で□□□なの。」
    「ウニャッ、ウニャッ…」

    とにかくドタはたいへんな聞き上手で、相づち上手(たぶん猫全般)。話しながらグリグリ顔をくっつけて来ます。
    「ありがとうね…」
    「アニャ…」

    その日がどんなに過激であっても、私の一日はこうして穏やかに、閉じていくのです。

    【皆様へ】
    永らくお愛読頂きました猫エッセイですが、突然の出来事やら何やらで、いきなり最終回となりました。これまでご愛読、ありがとうございました。
    しかし我ながら「二九一回も、よくぞ!」です(エルフ時代を加えると愛猫エピソードはさらにあり、他に【小鳥のジョナサン】シリーズ、【うさぎの健ちゃん】シリーズなども)。
    「最初から読みたいので本にしてください」という声もよく頂戴しましたが、いずれ気持と時間に余裕ができましたら、考えてみようと思います。
    では皆さん、ごきげんよう、さようなら……ここに登場した全ての動物たちとともに。

    (長澤 由起子)

    写真キャプション►皆様ごきげんよう…。