GaRiYa Essay

食は語る vol.288

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    猫たちの体調は、ゴハンの時に判ります。
    きちんと食べてくれればひと安心。
    食べなければ…おおごとです。

    …で、このところサンちゃんのゴハンからは特に、目が離せなくなりました。
    もともと大食いのサンちゃんですから、体調さえ良ければ、ドタの食べ残しまで平らげるうえに、
    「アニャ〜(おかわり〜〜〜〜)」
    と、ねだります。

    とにかく呆れるほどよく食べるんですが、そんな姿に、私は大喜びしてきました。
    サンちゃんの元気が見えるからです。

    ところがこの年末、そんなサンちゃんのフード皿にまた、食べ残しが目立ち始めたからおおごとでした!

    「このフード、飽きちゃった?」
    「………」
    「じゃ、このフードはどう?」
    「…………」
    「なら、このフードは?」
    「………」
    「これ、高かったんだよ…」

    あわてて病院に連れ込みました。

    「三千二百グラム…」
    なんと、前回の計測から七百グラムの減量です。

    原因はやはり、歯痛でした(腎臓のトラブルにより麻酔は危険ということで、歯科治療の断念を余儀なくされています…涙)。

    そこで通算三度目となる抗生物質の投与が始まったというわけですが、悲しいかな、単なる一時しのぎです。
    一縷の望みを抱こうにも、
    「続けるうちに効かなくなってきますからね」
    と釘を刺され、
    「もし明日も悪いようでしたら、点滴に来てください」
    とまで…(もう薬が効かなくなる頃と思ってるらしい)。

    しかし、今回も何とか効いてくれまして、ドタの食べ残しまで平らげてくれまして、
    「あにゃ〜!」
    と、おかわりまでしてくれます。

    こうしてとりあえず安心したところで、次はドタの心配です。
    あまりの食の細さが、ようやく気になってきたというわけです。

    ところがドタは違いました。
    被毛ツヤツヤ、瞳キラキラ、歯ピカピカ…つまり健康そのものでありまして、とても十六歳には見えません。たぶん、
    「三歳で〜す」
    とか、大サバ読んでも通ります。

    しかし、この脅威の若さをキープするためにも、しっかり食べさせなきゃいけません。それで、
    「サンちゃんごめん!」
    とフード皿を取り返しまして、
    「ドタ〜、もっと食べなさ〜い!」
    と呼びかけました。

    ところがです!
    いくら呼ぼうと命令しようと、頑なに背中を向けたままノーアンサー…。
    「ドタ〜〜〜!ドタ〜〜!ドタ〜〜!…」
    「………………………」

    「この意固地さはいったい、なぜ?!」
    ってなもんでした。

    仕方なくフード持参で歩み寄りまして、
    「残さず、しっかり食べなさい!」
    と、ドタの前に置いたところ…
    さらなる
    「なぜ?!」
    の簿発です!

    食べる食べる!
    ガツガツ食べる!
    モーレツに食べる!
    飢餓猫のように食べる!
    その食べっぷりたるや、サンちゃんの大食いどころじゃなかったんです。

    ところで、これら一連の
    「なぜ?」
    に対する回答は、その後の観察から、次のように推測されます。

    ●食べきれないフリをして、サンちゃんに譲っていた(おそらく盗られていた)。

    ●フードから距離を置き、頑なに背を向けることで、空腹感を一所懸命こらえていた。

    しかし、疑問はまだ残ります。
    「あんなに食べたかったのに、どうしてガマンできたの?」
    「………………………」
    「ナグモ式とか?」
    「ニャ」
    …………………………ありえん。

    (長澤 由起子)

    写真キャプション►左がドタちゃん、右がサンちゃんです。