GaRiYa Essay

今日も元気! vol.287

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    サンちゃんの日常に、大きな変化が訪れました。二階から一階へと、テリトリーが拡大されたことです。
    侵入厳禁だったエリア(人間エリア・例外猫はアビーィ一匹)の獲得ですから、ある意味、快挙です。

    もちろん理由はあります。
    私も母も(たぶんアビィも)うっかり甘くなっていたのですね。

    以前は部屋から抜け出すたびに、
    「ダメ!戻りなさい!」
    と、あわてて連れ戻していたのですが、昨夏の【死にかけ事件(実は歯痛)】以来、
    「サンちゃんが階段を降りれてる…」
    「サンちゃんが、階段を上がれてる…」
    と、いちいち感動し、
    「サンちゃんどこ行くの?…あ、そっちはお風呂場だよ…サンちゃん、お風呂場に行きたいの?…あ、お風呂場がいいのね」
    「………アニャ」
    「サンちゃん、そこ、座り心地悪いでしょ。ちょっと待ちなさい、今フワフワなの持って来るから」
    「………アニャ」

    …と、そうこうしているうちに、旧テリトリー〜新テリトリー間をセッセと通う、かなり元気な猫になっていたのです。

    旧テリトリーで朝ごはんを食べ終わると、ドアの前でジッと待機します。

    そしてドアが開きます。
    サンちゃんは、タッタカタッタカ階段を降りると左折し、廊下を直行し、また左折します。
    そしてシャンプー台に飛び乗り、洗面器に張った水をピチャピチャピチャピチャ呑むのです。

    そして私は出社します。
    サンちゃんは、そこでそのままゴロンします。
    しかしこの習慣が、少し困った状況を生み出し始めました。

    「サンちゃん、ごはん美味しかった?」
    「アニャン!」
    「では、お水も呑みましょ!」
    と、水を差し出すのですが、旧テリトリーの水は、絶対飲みません。
    ごはんは旧テリトリーで、水は新テリトリーのシャンプー台でと、なぜか、すっかり決め込んでいます。

    ちなみに我が家の水はオール井戸水。
    どこの蛇口も水質は一緒、味わいも一緒。
    もしや、パイプの長さの違いで、味わいに微妙な違いがあるとか…?
    となればサンちゃんの舌は、産地にこだわる美食家レベルです。

    しかし、問題もあります。
    母の入れ歯…母はそれを、コップの水に入れてキープするのですが、こともあろうにその入れ歯キープ水を、さらに美味しそうに飲むわけです。

    「ダメ!きたない!」
    「…にゃ…」
    慌てて止めに入るのですが、この事実を母が知れば、言い分は逆かもしれません。

    とにかく、日がなサンちゃんは、バスルームでのんびりゆったり、過ごします。
    私は会社で、アクセクジタバタ過ごします。

    やがて夜も更け、帰宅します。
    すると、バスルームから、ヒョイとサンちゃんが顔を出します。
    「サンちゃん〜会いたかったよ〜」
    「………にゃ!」
    気のせいか(いやマジ)怒声です。

    そこに母が起きて来て、
    「遅かね〜、サンちゃんが、どげ〜ん待っとったと思うね!お母さんがちょっと出入りするたんび、あんたが帰って来たと思うっちゃろか、何べんも何べんも出て来よったとよ〜」
    …ほぼ毎晩、聞かされてます。

    階段を登る私を、サンちゃんがスキップで追い越します。そのお尻を眺めながら、
    「サンちゃんは今日も元気だ」
    と、しみじみ嬉しくなる私です。

    (長澤 由起子)

    写真キャプション►貴方にも動物たちにも幸多い年となりますように!