GaRiYa Essay

猫に薬を飲ませる方法 vol.285

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    前回もお話しましたように、歯痛ごときで、最愛の家族を死なせるとこでした。マッタク、油断もスキもあったもんじゃありません(私のことです)。
    日に日にやせ衰えていくサンちゃんを、腎臓病の悪化&老衰と決めつけたばかりか、
    「ついに恐れていた日が来たのね…潔くその日を迎えましょう」
    と臨終へのカウントダウンまで始めていたんですから、まさにブラックユーモアです。

    走馬灯のように蘇ったサンちゃんとの日々は、あったかすぎて、オモシロすぎて、幸せすぎて、
    「私のところに来てくれて、ありがとうね。ずっと寄り添っててくれて、ありがとうね、ありがとうね、ありがとうね…」
    と、鼻水をすすり上げていた私の様子を、サンちゃんったら、いったいどんな思いで受け止めていたんでしょうね。
    「ア……………ア…(歯痛で食えねえだけなんだよおっ!)」
    とか。

    しかし、そこまで潔く諦めながら、よくぞ病院に運び込みました。おかげで奇跡の復活を遂げ、
    「すごい回復力ですね!」
    と、獣医さんもびっくりの展開だったのですが、通院は最初の三日だけ。
    「あとは薬で様子を看ましょう」
    だったのです。

    さて、ここからが本題です。

    サンちゃんは、病院から渡された[朝二錠・夜一錠]の薬を、三週間の間一回も欠かすことなく、実に上手に飲んでくれました。
    そしてそのことが、この驚異的回復につながったというわけですが、実はその経緯の中でひとつ、重大な気づきがあったのです。

    以下はシルクちゃんの時、獣医さんたちから指導された[コレっきゃない!]みたいな[投薬法]です。

    「まず両手で猫の口を大きく開いてください。閉じないように片手で口を押さえたまま、薬を舌の奥に素早くポンと置いて、急いで閉じて下さい。そのまま口を開かないようにシメ続けてください。飲み込むまでは、ずっとシメ続けてください。
    舌に薬を置く時は(咬まれないように)ピンセットを使ってもいいですよ」

    ところが、実際やってみると難しかったのなんの!
    「飲み込んだ?飲み込んだ?」
    と、いちおう口をシメ続けるのですが、シルクちゃんは実に、飲み込んだフリが上手でした。
    手を離した途端、口の端から、ふやけた白いものがポロリ…。
    「ウソつき〜」
    「…ナッ…」

    その窮状を獣医さんに伝えると、
    「え〜、簡単なのにどうして?ホ〜ラ、簡単じゃないですか」
    と、親切にも再演、再々演、再々再演…。

    「できません!」
    「じゃ、しかたありませんね。点滴に通ってください」
    それで、過剰なまでに点滴に頼ってしまったというわけです。

    その結果、シルクちゃんの小さな肺には、処理できなかった水がいっぱい溜まってしまい、溺れるような苦しみの果てに、九才の命を閉じました…。

    以来私は、投薬が必要になるたびに、あれこれと工夫を加えてきました。
    そして完成(?)したのが[粉砕&フード混込法]です。

    錠剤をティッシュ(orセロファンorビニール)に包み、カナヅチでゴンゴンゴンゴン…と、パウダー状になるまで砕きます。そしてフード(ドライは×)に均一に混ぜ込む、それだけです。

    「サンちゃん、美味しいごはんだよ〜」
    「アニャ〜〜〜〜」

    猫の味覚はとても弱いうえ、フードに溶け込ませることで薬の苦みも緩和されるのか、いつもペロリと完食でした。

    そもそも錠剤なんてもんは、充分な水があって初めて喉を通るもの。いくらなんでも、あの飲ませ方は拷問です。

    早い話、固い錠剤をちょっと砕いてパウダー状にして、美味しいフードに混ぜ込むだけでいいんです。
    また、そうして与えることの正当さを、サンちゃんは十六年たった今、身をもって証明してくれたのです。

    しかし、錠剤という形がある限り、どこかでまたシルクちゃんの悲劇は繰り返されます。製薬会社さん、どうか[粉末タイプ]に、改良してください!

    (長澤 由起子)

    写真キャプション►今日もこうして寄り添うサンちゃんです。