GaRiYa Essay

シャンプーして! vol.284

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    サンちゃんはこの春、腎臓病と診断されました。父猫のシルクちゃんが患った病気です。
    あの時、とても辛い死にかたをさせてしまったという思いから、病院での治療は断念していました。

    しかも、ヒト年齢なら八十歳。
    延命なんていうワガママはせず、自然に穏やかに見送ってやらなきゃ…と思っていたのです。

    ところが、腎臓病に効果アリと耳にした水や健食を与えていたら、めでたく大回復!
    それですっかり安心(慢心)していたところ、サンちゃんの食がどんどん細くなりまして(涙)[エアコン二十四時間つけっパナ]とか[サンちゃん大好物・新鮮タイ刺食べ放題]とか、省エネもオカネも度外視な食欲増進策に踏み込んではみたものの…マッタク効果無し。

    ついに、
    「来るべき時が来た」
    と、腹をくくるに至りました(涙)

    なにしろ、丸顔は三角顔になり、背骨はゴツゴツとアラワになり、老衰という形容がぴったりな変貌ぶりです。
    しかもその変貌にはさらに、究極とも言えるコーディネートが加わったもんですからたまりません。

    床にオシッコをして、わざわざカラダをそこに横たえるのです。
    白い毛は茶色に変色するし、触るとジュクジュクするし…。

    「アニャ…………」
    と、ハグを求めるサンちゃんを抱きしめ、
    「可愛い可愛い、可愛い可愛い。サンちゃんは世界一、可愛い可愛いよ〜でも、汚したね〜、シャンプーしようかね〜」

    そう言いながらも、なかなか決心がつきませんでした。
    サンちゃんはシャンプーが大嫌いなので、僅かに残す体力まで、消耗させることになるからです。

    ところがどっこい、無抵抗。
    「抵抗する力も無くしたのね」
    …と、また涙。

    汚れた部分だけをサッと洗って、
    「綺麗になったね、サンちゃん」
    「………………」

    ところが、翌日にはもう、オシッコ漬け…。

    しかし先日の汚れっぷりには、さすがの私もギョッとしました。胸・アゴ・首そしてホッペまでがジュクジュクです。
    「下半身は判るけど…上半身まで、どうやったらオシッコが?」

    不思議がりながらも、
    「今日は、お顔も洗おうね」
    と、初めて全身洗いに入ったわけです。

    ところが、
    「なに?!この固いのは、何?!」

    シャンプーの手を突然止めたのは、アゴから首に渡る、長くて太いシコリだったのです。

    「…ガン?」
    一縷の望みも断たれた私は、真っ暗闇な気持ちとサンちゃんを抱いて、せめて痛みだけでも取ってやらなくちゃと、久しぶりに病院を訪ねました。
    すると、
    「原因は…歯…でしょうね」
    「………………はっ?」

    なんと!歯のトラブルが原因の[腫れ]だったのです。

    ここまでの腫れに至るには、そうとうな痛みが続いたはずですが、腎臓病の末期症状という私の勝手な思い込みが、その発見を遅らせたのです(猛反省)。

    治療中のサンちゃんはとっても良いこで、痛い注射にも動じませんでした。
    「よく我慢したね」
    と、先生にも褒めて頂きました。

    そしてサンちゃんは、その日のうちに旺盛な食欲を取り戻し、一週間後には腫れもほとんど引いて、もとの丸顔に戻りつつあります。

    しかし、ひとつ疑問が残ります。
    「どうして、わざわざオシッコで汚したんだろう?」

    先生は、
    「オシッコした後、立ち上がる元気が無かったんでしょう」
    とおっしゃいますが、なんか、違う気がしています。

    「ママ、見て見て!汚したよ!だからシャンプーして!カラダじゅうに触って!口が痛くて食べられないよ!アゴも腫れて痛いよ!早く気がついてよ!」

    …だったのかも…とか(謝涙)。

    (長澤 由起子)

    写真キャプション►腎臓病の末期と思っていた頃の痩せたサンちゃんのバックショット。