GaRiYa Essay

ギイちゃんの ミッション Vol.30(通算Vol.319)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    スマホを見ていたら、猫は異星人が地球に送り込んだスパイです、なんて情報が目に止まりました(笑)
    それで久しぶりに思い出したのが、このエッセイを書くきっかけとなったギイちゃんです。

    ギイちゃんは友人から
    「お正月に里帰りする間、四〜五日だけ預かってちょうだい!」
    と押し付けられた兄弟猫の一匹で、もう一匹はロッキーちゃんといいました。

    ところがこのクソ友人(笑謝)ときたら、春が来ても迎えに来ない。
    あげく
    「自由にしてあげて」
    つまり遺棄しろと。
    それで
    「ワンコのほうが好きなんですが…」
    とか思いながら、シブシブ引き取ったというしだいでした。

    そう…最初は実はシブシブだったのです。

    ところが、そんなシブシブな私のもとに、シルクちゃん、マリリンちゃん、ハリーちゃん、アイビーちゃん、姫ちゃん、ヤマトくん、花子ちゃん…と怒涛のごとく転がり込んで来るわ来るわ…。
    しかしギイちゃんは、見事な統率力で猫たちをまとめあげ、私をサポートしてくれたものでした。

    例えば
    「ロッキーのバカ!」
    と、悲鳴をあげるや
    「ニャッ(アネさんは手出し無用)」
    とロッキーちゃんを追いかけまわして、パンパンパンッと猫パンチです。
    それでいつも
    「ギイちゃんが私を守ってくれている」
    と、思っていたのです。

    しかし、ギイちゃんが守っていたのは私ではなく、ロッキーちゃんの方でした。つまり、お仕置きパンチから守らんとする、手加減を加えた猫パンチだったのです。

    そのことは、ロッキーちゃんが亡くなってから思い知りました。
    健康そのものだったギイちゃんが、ロッキーちゃんを追いかけるようにして逝ってしまったからです。
    その時の記憶は、光景はもちろん、空気感から触感まで、今に至って鮮明です。

    私はその夜
    「寂しいから、一緒に寝ようね」
    と、ギイちゃんを抱いて、眠りにつきました。しかし三時頃ふと目が覚めると、ギイちゃんの姿がありません。
    「ギイちゃんどこ?」
    デスクの下に見つけました。

    ところが
    「そこは寒いでしょ」
    と声をかけた直後です。
    ブルブルブルブル…ギイちゃんの体が激しく痙攣をはじめ、そして私は、リアルを超えた光景の目撃者となりました。

    ピュ〜ッ、ピュ〜ッ、ピュ〜ッ…
    あちこちに小さな穴を空けたホースのように、ギイちゃんから弧を描いて噴出するキラキラな液体…まさに噴水です。

    五分だったのか十分だったのか…私はなすすべもなく、その噴水ショーを眺めていました。

    やがて小さくなったギイちゃんを、トロリとした海が囲みました。
    無色透明…不思議にも、紅い血はなぜか一滴も含まれていなかったのです。

    ところがです。
    ココまでヘンだったにもかかわらずです。
    「こんな珍しい死に方があったのね」
    と、思い込んでしまったわけです。
    それで、医者と話す機会を得るたび、この時の情景を掘り起こしては
    「病名は何というんでしょう?」
    と、しつこく回答を求めてきたのです。
    しかし、どなたも
    「え〜…」
    頭をひねられるばかりでした。

    今となっては、ヒーローにヤラレちゃった宇宙人が、緑色の液体を流すSF映画のシーンのほうが気になります(笑)

    そして思うのです。
    もしギイちゃんが本当に宇宙人のスパイだったとすれば、彼に託されたミッションとは、いったい何だったのだろうか…と。
    またそれは、果たされたのだろうか…と。

    もしかすると…猫たちと暮らすうちにシブシブがラブラブになり、地球で共に生きる全ての命に向けて、素直にこうべを垂れる人間にされてしまった…ということでしょうか(笑)