GaRiYa Essay

トイレのユリちゃん Vol.23(通算Vol.313)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    どの猫もこの猫も、二階から簡単に飛び降りる猫になるというのは、マッタク想定外のことでした。

    たぶん、銀杏の樹を伝ってやって来る野良猫ムーが、みんなの前でカッコよく飛び降りたりしてみせるものですから、
    「自分も飛べる!」
    と、信じ込むようになったのです。
    幸いにも遠くには行かず、庭でゴロゴロしています。

    それにしても、庭先でたくさんの猫たちがゴロゴロする風景は、いわゆる狢沖瓠ちょっとした迫力です。
    不審者が近づいて来ても、一瞬で気が変わります。

    しかしやっかいなことに、帰宅は玄関からと決めていて、
    「ニャ〜(玄関、開けろ〜)!」
    と、私を呼びつけます。
    「ニャ〜!」
    「ニャ〜!」
    「ニャ〜!」

    キーボードから手を放し、バタバタと階段をかけ降りて、玄関のドアを開きます。

    間髪入れず、四〜五匹がゾロゾロ入って来ます。

    そこで、こう叫びます。
    「入りなさ〜い!」
    するとまた別のチームがゾロゾロ入って来ます。
    それから私に追い立てられながら、ゾロゾロゾロゾロ…階段を上がります。

    しかし、これで終わってはくれません。
    猫たちはまたバルコニーに出て、同じダイブを繰り返します。
    楽しくて楽しくて、しかたがないのです。

    さて、このような事情から就寝前の点呼が欠かせなくなったというわけですが…ある夜のことでした。

    「四郎ちゃん!…二郎ちゃん!…サプリ!…ダンケ!…メルシー…!謝謝!…ワカメ!…グレー!…昆布!…麻呂!…ユリちゃん!…?」

    ユリちゃんの姿が見えません。寝室、クローゼット、トイレ、シャワー室、バルコニー…どこを捜しても見つかりません。

    と、その時、
    「ヒャ…ヒャ…」
    庭から聴こえる奇妙な音…
    「まさか!」

    そして暗闇の向こうに、小さなカタマリを見つけたのです。
    「ユリちゃん?」
    「ヒャ…」

    バルコニーからダイブした衝撃で、カタマッテいたのです。

    この時のユリちゃんは、まだやっと二ヶ月の赤ちゃん猫でした。
    しかも虚弱で痩せっぽっちでした。

    そんなユリちゃんが狢沖瓩離▲愁咾亡き込まれてしまい、
    「自分も飛べる!」
    と、飛んだのです。

    ショック状態のユリちゃんは、私の膝に抱かれたまんま、静かに朝を迎えました。
    そして、ケロッと復活しました。


    そして、私の膝が、大好きになりました。

    …と、ここまではよかったのですが、実は、この先がいけません。
    トイレにくっついて来るのです…というのもいいのですが、ユリちゃんの目的は、その先です。

    なんと、腰掛ける私の膝に、ジャンプするのです。

    夜中でも必ずついて来ます。
    その気配でムクッと起き上がって、アクビをしながら追いかけてきます。

    そして、膝ジャンプをキメるのです。
    拒絶しても拒絶しても、ユリちゃんは膝ジャンプを止めません。

    やがて根負けした私は、前向きな考えに至るようになりました。

    たとえばユリちゃんを膝に抱いたまま、
    「どうすれば、シャワーボタンを押し間違えないだろうか?」
    とか、
    「どうすれば、ペーパーを適量に巻き取れるだろうか?」
    とか。

    まあ、なんとかやってはおりますが…。