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GaRiYa Essay

恋(声)の奇跡 Vol.16(通算Vol.307)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    庭の銀杏の樹をタタタッとかけ登ると、ボコボコでユラユラの枝先から二階のバルコニーに向けて、ヒラ〜ッとジャンプ。
    「あらムーちゃん久しぶり。ごはんすぐ用意するから、ちょっと待ってて!」

    彼の名前はムー(夢)。
    ときどきこうして、命がけでごはんを食べに来る野良ちゃんです。

    「美味しかった?」
    「………………………」
    「元気だった?」
    「………………………」
    それにしても、こうしてゴハンをもらっているのにカケラ程の愛想もなく、寡黙で不遜な顔つきが、タダモノじゃないオーラを放ちます。

    ところが、ある晩のことでした。
    久しぶりに訪れたバルコニーではオトナになりかけた子猫たちが、組んずほぐれつのお祭り騒ぎです。
    そんな様子に気圧されてか、オジサン猫のムーはたじろいで、コソッと去ろうとしていました。

    ところが人生(猫生)、何が起こるかわかりません。
    そんなムーをトコトコ追いかけてスリスリスリスリ…とスリ寄ったのは、紅一点のサプリです。

    以前お話しましたようにサプリには、生まれつき声がありません。
    でも、話すことができない代わりに、ボディランゲージは得意なのです。

    それにしても、サプリの行為は大胆でした。小さな女のこが、自分の三倍もありそうなオジサン猫を、まさに体当たりで引き止めたのですから。

    私もビックリでしたが、もっとビックリはムーだったと思います。よけてもよけてもスリスリスリスリ…。

    よく見ると、サプリの目が♥です。
    「まさか…サプリ?」
    「…………………」
    そう、サプリの初恋…一目惚れだったのです。

    周囲の男のこたちも、ア然でした。
    皆んなそれなりにカッコいいし、もちろんサプリのことが大好きです。
    「そろそろ手術しなくちゃね…」
    と思い始めた矢先の出来事でした。

    それからというもの、
    「あっムーちゃん、今日も来てるんだ」
    「………………………………」
    もうほとんど、入リビタリ。

    やがて衆目の見守る中、恋愛成就とあいなったわけですが…その瞬間、
    「ギャン!」

    ものすごい悲鳴があがったのと同時に、なんと、巨漢ムーが一メートルほども弾き飛ばされておりました。
    そしてサプリは、プリップリに怒りながら、部屋に戻ってしまいました。

    私がホッとしたのは言うまでもありません。ところがドッコイ…。

    それからも、ムーは連チャンでやって来るし、プリップリに怒っていたはずのサプリの目は、あい変わらず♥ですし…
    にもかかわらず、
    「ギャン!」

    の悲鳴で、弾き飛ばします。

    そうしてムーの巨体をギャンギャンギャンギャン弾き飛ばしていくうちに、とっても目出たいことが起こりました。
    なんと、サプリに狎辞瓩生まれたのです。
    「声、出てるじゃん!」
    「ニャン!」
    こんな奇跡ってあるのでしょうか?

    ギャンギャンギャンギャン凄まじい悲鳴をあげ続けたことで、眠っていた声帯が刺激されて、動き始めたというわけでしょうか。いわゆる、ヴォイストレーニングっていうやつですね。

    先日、久しぶりにサプリを見た姪が、ビックリしてこう言いました。
    「あれえ〜サプリ声が出てるじゃん!どうして?どうして?ねっどうして?どうして?どうして?」
    「…ま、いろいろ…あってね…」

    とにかく、おかげでサプリは今、心の通い合う、とても楽しい話し相手です。