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GaRiYa Essay

三郎ちゃんも こんなにガンバッて 生きています Vol.13(通算Vol.304)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    玄関先でガリガリに痩せ細った三郎ちゃんを見つけたのは、プチ家出から八日も過ぎた日の夕刻でした。
    門扉をあけた瞬間、聞き覚えのある声が、
    「ニャ〜」
    「…三郎ちゃん?」
    「ニャ〜」
    「三郎ちゃん!」
    「ニャ〜」
    「戻って来たね!」
    「ニャ」
    「心配したよ〜!」
    プチ家出と言えば思い出すのはサンちゃん(故)です。
    実によく家出してくれたものでした。
    私はそのたびに大騒ぎしたものですが、四〜五日もするとシラ〜ッと帰宅して爆食、爆睡。
    それで、楽観していたのです。
    「四〜五日もしたら帰ってくるわよ」
    と ところが、帰らなかったのです。
    六日を過ぎると、アキラメに近い思いがよぎり始めました。


    なにしろちょっと前までは野良ちゃんだったわけですから、アウトドアライフには精通しています。
    おまけに野良ちゃん時代の習性が抜けなくてヒト…つまり私はまだ、警戒される傾向にあったのです。
    なので、「ニャ〜(野良がいい〜)」という気分になったとしても、ぜんぜん不思議はなかったのです。
    それに加えて巷は春。ポカポカ陽気ときています。
    三郎ちゃんの帰宅はそんなアキラメの中でかっ飛ばした、逆転ホームランのごとき快挙だったのです。
    しかし、三郎ちゃんが見せた衰弱ぶりは、八日という日々の過酷さを物語って余りあるものでした。
    サンちゃんの時のような爆食もなく、ヨロヨロッとヨロけながら…ベッドイン。
    そこでやさしく、

    「疲れたろ〜ゆっくりおやすみ〜」
    と、背中に手を置いたその時でした。
    ﹁ウワア〜ッ!﹂
    シッポの陰から顔を出したのは、ザックリ切り込まれた悲惨なお尻です。まさか、ヨロヨロの理由がコレだったとは!
    夜明けを待って病院にかつぎ込むと、

    ﹁ウワア〜ッ!﹂
    「……(医者ともあろうが、同んなじリアクションするかい…不安増大)……」
    傷は古く、化膿はタマタマまで侵攻とのこと。
    「ついでに去勢手術もやっときましょう」
    …で、やや気を取り直し、
    「明日の夜に迎えに来てください」
    「明日だと、深夜になりますけど… 」
    「では、今夜来てください」
    「はいっ!」
    で、とりあえず安心したような次第です。
    それにつけても、三郎ちゃんはほんとうによく、ガンバリました。これほど酷い傷を負いながら、たったヒトリで乗り越えてきたのです。どれほど痛くて、どれほど不安だったことでしょう。
    しかも飲まず食わずで体力消耗しまくりですから、そのまんまぶっ倒れてしまったほうがラクだったのです。
    それでもヨッコラショッと立ち上がって、一歩…また一歩…と歩いたのです。
    おうちに向かって歩いたのです。
    苦とか痛とか難とか悲とか窮とか困とか憂とか淋とか哀とか患とかいった、ありとあらゆる負のお荷物を、小さなカラダに背負ったまんま、おうちに向かって歩いたのです。
    トドメは退院の夜でした。
    先生から渡された三郎ちゃんを、
    「よかったね〜」
    と抱き上げたその、直後でした。
    ジョ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…
    診察台が大洪水です。
    「あんたねえ、なんでこんなもんまでガマンするの?」
    よくぞ膀胱破裂を起こさなかったもんだと、危ぶまれるほどの量だったのです。
    あきれたことに必死の頑張りがまだ続いていたのです。
    それが私に抱かれて初めてゆるんだのでしょう。
    …てことは三郎ちゃん、いつの間にかちゃんと家族になってくれてたようで。