GaRiYa Essay

年の瀬 人情ばなし 一枚のごまさば Vol.28(通算Vol.319)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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    ドライフードの栄養バランスには素晴らしいものがありまして
    「うちの子には♥♥しか与えていません」
    とおっしゃる声を、よく耳にします。
    しかし、これがヒトなら…というか、もし自分ならどうでしょう。非常食の乾パンと水だけで一生を送るようなもんですよね。
    少なくとも私は、いかにプリプリ肌になろうと、健康によかろうと…イヤです!
    そういう理由から、グルメな猫フード作りを心がけているものの、なにしろうちは大家族。しかもお客様(野良様)もチョクチョクいらっしゃいます。


    そこで宴会に招ばれれば、皆様のお席を周って
    「猫ちゃんのお土産に、頂きま〜す」
    と、食べ残しの魚肉料理(塩分等は湯洗)を集めたりとか
    「C店は賞味期限切れ直前の半額フードセールあり。こまめに行くべし!」
    とか
    「鶏肉ならS店。胸肉一キロ380円!」
    とか
    「魚はE店。閉店間際の投げ売りセールを狙うべし!」
    …とか、限りある予算の中でけっこう上手にヤリクリっているわけですが、特にE店の【投げ売りセール】漁りは、帰宅途上と
    いうこともあって、日課となり

    「大漁だ〜」
    と喜ぶ日あり
    「不漁だ〜」
    と打ちひしがれる日ありで、気分はほとんど漁師さんです。
    漁師さんは天候に左右されます。
    たとえば、嵐の日は客足の引けが早く、ちょっと命がけですが、ほぼ大漁。
    そうして手に入れた様々な魚を、煮たり焼いたり揚げたりして
    「おいしい?」
    「フンニャ、フンニャ、フンニャ…」
    …この食音が、タマリマセン。
    そういうわけで、私が狠猷爾乙だけ狙いの客〞というのは従業員さんたちから認知されるようになりまして…たぶん、狄べ盛りの子供たちを抱えて、働きながら頑張っている主婦〞のように思われていたのではないでしょうか。
    また私のほうも実は、そんなかんじに振る舞っていたのです。
    と申しますのも
    「猫たちが喜びます!」
    と言った瞬間
    「ヒトが召し上がっても、じゅうぶん美味しいんですが…」
    と、ガッカリされた記憶があるからです。
    ところがこの十二月、いきなり不漁が続きました。
    「ごめんね、お魚、今日も無かったの」
    「…ニャ」
    「明日は頑張るからね!」
    「ニャ〜!」
    しかし、不漁はその後も続きました。
    ボ〜ゼンと立ちすくす私に、従業員Sさんが耳打ちしました。
    「人手不足で、最近ちょっと早目に値段を落としてるんです。それで、売り切れるのが早くなったんです」
    なるほどでした。
    ここでついにカミングアウトです。
    「家にたくさん猫が居るんです。猫たちが魚、すごく喜ぶんです。でもこの頃、ずっと魚が食べられなくて……」
    「猫ちゃん…ですかあ…」
    立ち去ろうとしたら、厨房からSさんが呼び止めました。
    「猫ちゃん、ごまさば、好きですか?」
    その手にシッカリと、一枚のごまさばが握られていたのです。
    しかもそれは、ご自宅用に購入するための爐取り置き〞でした…。


    その昔牋貲佞里けそば〞なんて、年の瀬の人情話が話題になりましたが、こちらは牋賈腓里瓦泙気〞です。
    とても足りる量ではありませんでしたけれど、ココロだけはホッコリ満たされて、元気をもらえた一枚でした。
    世界は、こころ優しい人々で溢れています。
    隠していても、動物たちの前ではバレバレです。
    そんな動物たちを通じて、今年もさまざまな人々の温かさにふれることができました。
    ありがとうございました…。


    謝謝が超えた 72 時間の壁 Vol.27(通算Vol.317)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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      まだ暑さ厳しき九月上旬。
      朝ゴハンを食べるやいなや、二階バルコニーから庭に飛び降りたっきり、夜になっても帰らない猫がいました。
      「謝謝、遅いな〜…何やってんだ」
      そこに、N子さんからのメールです。
      〈見たことのない猫が車にひかれました。
      長澤さんの猫ではないですか?抱き上げようとしたら、痛そうにして逃げました〉
      スーッ…………血の気が引きました。
      駅に行く道の途中に野良ちゃんたちのエサ場があるのですが、直線距離にしたら家から百メートルほどの所。
      そこに謝謝が顔を出したとしても、なんら不思議はなかったのです。
      「白地でしたか?」
      「そうでした!」
      「背中に、ボコボコした感じの柄がありましたか?」
      「ありました!」
      「顔にもそんな模様がありましたか?」
      「ありました!」
      もう間違いありません。
      とるものもとりあえず、事故現場に駆けつけました。そして、連呼しました。
      「謝謝!謝謝!謝謝!」
      ところが、返事が無いばかりか姿もナシ。
      そこで私は、とんでもない目撃談を聞かされました。
      …アホなことに、救助の手を振り払って、ヨロっとヨロケながら起き上がった。
      さらにアホなことに、ナナメに猫
      体を傾けたまんまヒョコヒョコ歩いて…
      「長澤家の方向に、姿を消しましたッ!」
      つまり、家に帰る気マンマンだったのです。
      さっそく、事故現場⇅自宅⇅間の捜索が始まりました。ところが
      「謝謝〜!謝謝〜!謝謝〜!謝謝〜!謝謝〜!謝謝〜!謝謝〜!」
      返事がありません。
      しかも、さすがモトあぜ道です。
      収穫前の稲やら野菜やら雑草やらがあたり一面に生い茂っていて、捜索は困難を極めたのでした。
      翌日は、あいも変わらぬ猛暑日でした。
      つまり猊藹〞の苦しみに
      「ニ…ニャ…(ミ…ミズ…)」
      牘蠹群〞の苦しみまで加わったのです。
      ちなみにその翌日も、猛暑日でした。
      そのうち
      「謝謝はスグ死んだ」
      と、考えるようになりました。
      「天国で遊びまわってる」
      と思うことで、気持ちをラクにすることができたのです。
      実際には
      「遺体さえ見つけてあげられない!」
      そんな痛みとの、引き換えでしたが…。
      三日目の夜、ついに72時間の壁(災害などで動けなくなった場合、飲まず食わずで生き延びられる時間)と向き合うことに。
      事故現場に立って合掌。

      そして帰りながら
      「謝謝…謝謝…謝謝…」
      その声はもはや、ツブヤキでした。
      「謝謝…謝謝…謝謝…謝謝…謝謝…謝謝…謝謝…謝謝…謝謝…謝謝…謝謝…」
      そんな私を、自宅横近くの暗闇から
      「ニャ〜」
      聞き覚えのある声が迎えました。


      「…サプリかな?」
      「ニャ〜」
      「…麻呂かな?」
      すると声の主がムクッとカラダを起こし、しかも、ヨロッとヨロけたのです。
      「謝謝?!」
      「ニャ〜!」
      「コレは幻覚だ」
      と、思いました。
      ところが
      ﹁ニャ〜︵ハラ減った!︶﹂
      なんと、現実でした。
      「ゴ…ゴハン?ちょっと待って!」
      そして謝謝は三日三晩ぶんのゴハンを、イッキに食べまくったのでした。
      しかし謝謝は、実によく頑張りました。それに比べて私のナサケナカッタコト…。
      前脚に障がいは残ったものの、謝謝のヤンチャぶりは、今日もすこぶる健在です。


      我が家の ライオン・キング Vol.26(通算Vol.316)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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        この夏は、よく雨が降りましたね。
        そんな雨の夜に、駐車場の草むらから
        「ピ〜〜〜」
        と、Aさんを呼び止めたのは、糞尿と雨で
        グチャグチャに汚れた、子猫でした。


        Aさんは、うろたえました。
        と言うのも、彼女が住むのはペット飼育厳禁マンション。
        それで、泣きついてきたわけですね。


        「預かるだけよ!家族になってくれる人を二ヶ月以内に探すって、約束してね!うちはもう、絶対これ以上増やせないの!」
        …と、私はエラそ〜に、受け取りました。


        そして、うろたえました。
        「小さっ…」
        なんと、生後一週間ほどの赤ちゃん猫です。

        つまり私がこれまで経験してきた狎屬舛磴麈〞たちには立派な母猫がついていて、やっかいなことはぜ〜んぶ、引き受けてくれていたからです。

         

        要するに私は
        「かわいい…」
        と、目を細めているだけだったのです。

         

        獣医さんに直行すると「冷えないように温かくしてやってください。夏だからって油断はできません」

        「…はい」


        授乳については「この粉ミルクを、10CCのお湯に2グラム溶かして、一日6回〜8回、与えてください」
        「…私、いつ寝るんですか?」

         

        しかもワクチン未接種のため(※生後二ヶ月まで摂取不能)、他の猫たちとは完全隔離です。

         

        とにかく、こうして育児はスタートしたのですが、スポイドにミルクをとって、子猫の口に押し込むと
        「ピ〜〜〜〜〜〜!」

        「飲まなきゃ死ぬよ!」
        「ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
        小さいくせに負けてません。

         

        そのうち顔がミルクだらけになって
        「ごめんね…ごめんね…(涙目)」

         

        ヘタクソ授乳の爐瓦瓩鵑〞ではなく、母猫から引き離して雨の中に捨ててくれた狠かさん”の代わりの爐瓦瓩鵑〞でした。

        静かになれば、なったで
        「生きてるか〜い?」
        背中が小さく盛り上がるのを見て、幾度ホッとしたことか…。

         

        排泄さえ自力ではできません。
        お尻をトントントン…と刺激して、やっと
        プリプリプリ…ジョ〜…。

         

        なりゆき、入浴も日課です。
        「ピ〜〜〜〜〜〜〜!」
        「暴れるな!ウンコ洗わせろ!」
        「クシュッ、クシュッ」
        「ほ〜ら、鼻に入った」

         

        …と、怒濤の日々が過ぎた今、やっと一ヶ月ほどの月齢です。でも、私の育て方がよかったのでしょうね。
        排泄は、もう自力で猫トイレです。
        「おりこうさん!」
        しかもボトル・ベイビーを卒業して、もう皿のお魚に食らいつきます。
        「たくましい!」
        しかも、しかもですよ。名前を呼ぶと、ヨタヨタ走り寄って来るんです。
        「天才!」

         

        あっ名前ですね、シンバです。
        ライオン・キング(上映中)の狎屬舛磴鵐轡鵐〞と色柄がそっくりなので(本誌25ページ写真と比較してね)あやかりました。
        あっ家族募集ですね、ありえません!
        シンバはウチの子ですから


        ダンケのお騒がせ Vol.25(通算Vol.315)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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          のどかな田園に囲まれながら、牘⇅自宅〞の走行タイム(自転車)は約一分。
          それなりに恵まれた住環境です。
          ところが最近は三分、四分…時には十分かかることも。
          家まであと十秒、というあたりで私の自転車音を聞き分けた猫たちが、田から畑からヨソ様のお庭から
          「ニャ〜(やっと帰って来た!)」
          「ニャ〜(はらへった〜)」
          と飛び出して来て、自転車の周りでトンだりハネたり寝転がったりするものですから、ノロノロ運転になるわけです。
          途中で野良ちゃんに遭遇すれば、タイムはさらに落ち込みます。
          たとえば先夜など

          「ニャ〜」
          の声に呼び止められるや、自転車を降りての捜索です。
          「猫ちゃ〜ん」
          「ニャ〜」
          「出てらっしゃ〜い」
          「ニャ〜」
          「どこに居るの〜」
          …とたどりましたところ、なんと側溝(路面排水のために道路の端に設けたフタ付きの水路)からのニャ〜でしたから、保護というより救助です。
          それも、一刻を争います。
          「すぐ助けるからね!」
          「ニャ〜」
          ﹁ヨ〜イショ〜﹂
          しかし、フタはビクともいたしません。すっかり大地と一体化しています。駆けつけた友人も
          「ムリですよ〜」
          そこで119番に電話して
          「助けてください!側溝に猫が落ちて、出られなくなっています!」
          と、救助を要請(懇願)したしだいです。
          「もうすぐ助けが来るよ」
          「ニャ〜」
          「がんばって!」
          フタのスキマから猫手がグリグリ。
          そこで私も指をグリグリして
          「タ〜ッチ!」
          とかやっておりましたら、巨大な消防車が到着しました。
          そして見事な連携プレーで、ガガガガ…と、フタが開きました。
          ところがです。
          「猫が居ない!」
          こともあろうに、消防士さんたちを怖がって、側溝のトンネルの奥深くへと、逃げ隠れてしまったのです。
          「猫ちゃ〜ん、出てらっしゃ〜い!」
          …出てきません。
          頑張って下さった方たちに対して、失礼の極みでした。
          ところがこの犇砲〞には、さらに奥があったのです。
          そばの畑にフト目をやりますと、一匹のキジ猫が、シラ〜ッとコッチを見ているではありませんか。
          「…あの…猫…ですかねえ?」
          と、消防士さん。
          「そ…そう…だと…思います」
          と、私。


          たぶん畑のどこかに、側溝に通じる穴があったのでしょうが、爐修鵑雰蠅あるんなら私も入りたい!〞というのが実は、正直な気持ちでした。
          「ありがとうございました!ありがとうございました!」
          と、頭を下げまくることでハズカシサにフタをして、巨大な消防車が闇の向こうに消えたのをシッカリ確認するや
          「バカ猫、ダンケ!」
          「ニャ」
          「こ〜んな遠くまで、迎えに来たら、ダメでしょ〜があ!」
          …我が家の猫だったのです。
          ともあれ、小さな命に対する消防隊の皆様の優しさと温かさに触れた、素晴らしいお騒がせではありました…(謝汗)


          はじめての猫だんご Vol.24(通算Vol.314)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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            帰り道、エサヤリさんたちとよく出逢います。
            おかげで、野良ちゃんたちは幸せです。
            ところが、サッと離れる方もいらっしゃいます。

            たぶん、「あなたたちが無責任にエサをやるから、野良猫が増えて困ります!」
            なんて、苦情を言われてきたのでしょう。
            とんでもない。
            小さな命に注がれる優しさは、見ているコッチまで癒されます。
            「ごくろうさま〜」
            と、まずは労をねぎらいながら
            「こんな所で赤ちゃんが産まれたら、可哀想ね…すぐ病気になるし…車にひかれたりするし…餓死したりするし…」
            とか、モニョモミョつぶやく私です。
            さて、家猫の寿命は伸びまくっています。
            なにしろ狃夙歳以上用〞の猫フードが堂々と棚に並ぶ時代です。
            ところが野良ちゃんはどうでしょう。
            三年以上生きる猫はやはり、少ないように思います。
            たとえばこんなことがありました。エサ場の一つとして我が家に通って来る爛燹〞が、三歳になった頃の出来事です。
            「どうして食べないの?」

            「………」
            「これ、美味しいよ〜」
            「………」
            なんと、グッタリしています。
            幸いにも通院の甲斐あって、一週間ほどで全快。

            するとまた止めるのも聞かず
            「ニャッ(世話になったな)」
            と、出て行きました。
            しかし、この出来事から我が家は猝し場〞への昇格を果たしたようです。
            それからわずか半年後、まさに瀕死の状態で転がり込んで来たからです。
            「あと一日遅かったら死んでいましたよ」
            …と、T先生。
            脱水からの回復を待って、右眼球の摘出手術が行われました。
            退院してからも、さらに我が家で一ヶ月ほどの療養が続きました。
            その間、
            「ムーかわい〜ウインクしてるぅ〜」
            が気にさわったのか、縫い合わされた上下のまぶたを自力で抜糸。

            結果、ピンクの目穴がポッカリです。
            気の弱いエサやりさんがご覧になったら
            「ギャ〜ッ!」
            なんてコトもありますので、心配していたのですが、
            「カタメちゃん」
            の愛称で親しまれているようです(ホッ)

            以来、二日と空けずにやって来て、お泊まりしていくことも増えました。
            それでも倏だんご〞で眠る猫たちとは距離を置いて、ヨソ者オーラ、ビンビンッです。
            ところが先日…そこにワカメが乱入しました。
            混乱するムーをよそに、ゴロ〜ンです。
            そこに、グレイが加わりました。
            そして、ダンケも加わりました。
            ムーのために敷いていた御客座布団(もうボロボロ)が超満員になって、初めてムーは倏だんご〞になりました。
            そう…気付いてないのはムーだけで、実はとっくに、家族だったのです。


            トイレのユリちゃん Vol.23(通算Vol.313)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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              どの猫もこの猫も、二階から簡単に飛び降りる猫になるというのは、マッタク想定外のことでした。

              たぶん、銀杏の樹を伝ってやって来る野良猫ムーが、みんなの前でカッコよく飛び降りたりしてみせるものですから、
              「自分も飛べる!」
              と、信じ込むようになったのです。
              幸いにも遠くには行かず、庭でゴロゴロしています。

              それにしても、庭先でたくさんの猫たちがゴロゴロする風景は、いわゆる狢沖瓠ちょっとした迫力です。
              不審者が近づいて来ても、一瞬で気が変わります。

              しかしやっかいなことに、帰宅は玄関からと決めていて、
              「ニャ〜(玄関、開けろ〜)!」
              と、私を呼びつけます。
              「ニャ〜!」
              「ニャ〜!」
              「ニャ〜!」

              キーボードから手を放し、バタバタと階段をかけ降りて、玄関のドアを開きます。

              間髪入れず、四〜五匹がゾロゾロ入って来ます。

              そこで、こう叫びます。
              「入りなさ〜い!」
              するとまた別のチームがゾロゾロ入って来ます。
              それから私に追い立てられながら、ゾロゾロゾロゾロ…階段を上がります。

              しかし、これで終わってはくれません。
              猫たちはまたバルコニーに出て、同じダイブを繰り返します。
              楽しくて楽しくて、しかたがないのです。

              さて、このような事情から就寝前の点呼が欠かせなくなったというわけですが…ある夜のことでした。

              「四郎ちゃん!…二郎ちゃん!…サプリ!…ダンケ!…メルシー…!謝謝!…ワカメ!…グレー!…昆布!…麻呂!…ユリちゃん!…?」

              ユリちゃんの姿が見えません。寝室、クローゼット、トイレ、シャワー室、バルコニー…どこを捜しても見つかりません。

              と、その時、
              「ヒャ…ヒャ…」
              庭から聴こえる奇妙な音…
              「まさか!」

              そして暗闇の向こうに、小さなカタマリを見つけたのです。
              「ユリちゃん?」
              「ヒャ…」

              バルコニーからダイブした衝撃で、カタマッテいたのです。

              この時のユリちゃんは、まだやっと二ヶ月の赤ちゃん猫でした。
              しかも虚弱で痩せっぽっちでした。

              そんなユリちゃんが狢沖瓩離▲愁咾亡き込まれてしまい、
              「自分も飛べる!」
              と、飛んだのです。

              ショック状態のユリちゃんは、私の膝に抱かれたまんま、静かに朝を迎えました。
              そして、ケロッと復活しました。


              そして、私の膝が、大好きになりました。

              …と、ここまではよかったのですが、実は、この先がいけません。
              トイレにくっついて来るのです…というのもいいのですが、ユリちゃんの目的は、その先です。

              なんと、腰掛ける私の膝に、ジャンプするのです。

              夜中でも必ずついて来ます。
              その気配でムクッと起き上がって、アクビをしながら追いかけてきます。

              そして、膝ジャンプをキメるのです。
              拒絶しても拒絶しても、ユリちゃんは膝ジャンプを止めません。

              やがて根負けした私は、前向きな考えに至るようになりました。

              たとえばユリちゃんを膝に抱いたまま、
              「どうすれば、シャワーボタンを押し間違えないだろうか?」
              とか、
              「どうすれば、ペーパーを適量に巻き取れるだろうか?」
              とか。

              まあ、なんとかやってはおりますが…。


              真夜中のパーティ Vol.22(通算Vol.312)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

              0

                我が家はいわゆる二世帯住宅です。
                ちなみに一階がヒト世帯、二階がネコ世帯(プラス私)で、いちおうキッチン付き。

                事件はこのキッチンで起こりました。

                その夜、久しぶりにキッチンに立っておりますと、背中に妙な気配です。
                振り向けば、猫、猫、猫、猫…猫が居るのはあたりまえとして、問題はその目線です。
                沸々と煮えたぎる鍋に、一直線!
                しかも犲分たちのゴハン瓩箸い勝手な思い込みでソワソワしています。

                「カリカリと猫缶、食べたでしょ?これは、私のゴハンです!」
                身振り手振りもつけて、説明しました。

                ところが目線はそのまんま。ソワソワもそのまんま。
                そこで、
                「食べれるもんなら食べてみなさいよ!」
                もう、行動で示すしかないと思ったわけです。

                出来立てのアツアツを猫トレーにぶちまけました。すると猫たちが一斉に口をつけました。そして、
                「!」
                ビックリして、一斉に猫トレーから身を引きました。

                「猫は熱いのはダメなの。これでわかったよね」
                なんだか勝ち誇った気分でした。

                ところが、これが大間違い。
                5秒もすると一匹が戻り、そして二匹が戻り、三匹が戻り四匹が戻り…ハフハフ音を立てながらの完食です。そして、
                「ニャ!(もっとくれ!)」
                の大合唱です。

                「猫舌は、真っ赤なウソだったのか…」
                こうした思い込み、つまり常識のウソに、私はいったいどれだけ騙されてきたんだろうと、ひどくシミジミしたものです。

                それにしても猫たちはグルメです。外食の残りをお土産に持ち帰ると、
                「ウンニャ・グンニャ・ウンニャ・グンニャ・ウンニャ・ウンニャ(舌鼓)…」
                プロとアマ(私)の違いを見せつけます。
                「くやしい…」

                おかげで少し、料理の腕を上げました。煮物、焼物、揚げ物…もう何でも来いって感じです。もちろん調味料(薄味です)にもこだわります。

                帰宅するとキッチンに直行です。
                なにしろ保護猫たち含めて十四匹。
                作ったほうが安上がりでお腹いっぱい食べさせてあげられるというのも、最近の理由になっています。

                料理が始まると、駆け回ったり寝たりしていた猫たちが、キッチンにゾロゾロ集まってきます。
                その可愛いさはまるで、働くお母さんの背中を見る子供たちです。

                肝心の私のご飯ですが、チカラ尽きてほぼインスタント(チキンラーメン)です。
                ところがそれも、
                「ニャ〜(シメはラーメン)!」
                ということに(涙笑)

                とにかく、いっぱい食べて飲んで騒いで…我が家は毎晩、宴会です。


                終わらない物語 Vol.21(通算Vol.311)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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                  考えてみると実に不思議(?)な話です。

                  あれほどたくさんいた猫たちが次々と天寿を全ういたしまして…いちいち号泣はいたしましたが、私の日常は本来の優雅さを取り戻し、とて〜もラクチンになっていたんです。

                  ところがどうでしょ!
                  「爐△虜↓瓩蝋せだったなあ…爐△虜↓瓩北瓩蠅燭い覆…」
                  なんと、人生のタソガレってやつにドップリ浸るようになったのです。

                  野良ちゃんたちが転がり込んできた一昨年末は、そんな人生のタソガレ時の、ピークにあったような気がします。

                  年が明けた一月一日。
                  それも朝の起きがけでした。
                  シルクちゃんが夢枕に立って、
                  「この子たちは僕の子だからね」
                  と、意味不明な言葉をぶ
                  ち放ったじゃないですか。

                  シルクちゃんと言えば数
                  々の奇跡(奇行)によって、私にとっては狄性瓩任垢ら影響力たるや絶大です。

                  「この子たちは他家にあげちゃダメなんだね」
                  と理解して、
                  「ハハ〜ッ…」
                  と承ってしまった結果、増
                  えるわ増えるわ…
                  「ハッ!」
                  と気付いたらまた、とんでもない大所帯になっちまった、というわけです。
                  要するに爐△虜↓瓩良活でした。

                  ただでさえ忙しい人なのに、掃除、洗濯、買出し、料理、健康管理、喧嘩仲裁、指導
                  教育エトセトラで、
                  「も〜タソガレてるヒマなんか無い!」
                  と。
                  シルクちゃんのネライはどうも、そんなところにあったようです(苦笑)

                  おかげをもちまして、ウソのように静寂
                  だった我が家は毎日、お祭りです。

                  部屋に在る物すべて遊具。
                  まさに遊びの天才たちです。
                  そして疲れて、グッスリ眠ります。

                  起きている時はバラバラなのに、身を寄せ合って眠ります。
                  狄頼瓩箸牋多喚瓩箸といった無形の犢せ瓩髻△海Δ靴新舛砲靴童せてくれて、その幸せに私を巻き込みます。

                  でも、悲しいことも起こります…
                  それは六月で月齢半年を迎えたダンケとメルシーの、不妊手術の最中でした。

                  「妊娠していたんですが…赤ちゃん、どうなさいますか?」
                  赤ちゃんとはいえ、まだ猯貝瓩任后
                  三粒+五粒=八粒でした。

                  二つの子宮を小箱に詰めて持ち帰り、裏庭の紫陽花の下に埋めました…合掌。

                  そして、初秋…
                  常ならぬ光景に目を疑いました。
                  「あんたたち、何やってるの?」
                  猫たちがダンケのお腹に潜り込んで、おっぱいをチューチュー飲んでいます。

                  切ないことに、ダンケのカラダは、子宮もろとも失くしながら、ママになる準備を止めなかったのです。

                  …こうして猫たちはこれからも、色んな物語を紡いでくれるのでしょう。


                  がんばったんだね…片目のムー Vol.20(通算Vol.310)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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                    「この頃、ムーが来ないね…彼女でもできたんだろうか?」
                    「…にゃ」
                    「だったらいいんだけど…」
                    一抹の不安がよぎりました。
                    ムーというのは、サプリ(不妊済)がつきあっている野良ちゃんです。
                    庭の銀杏にかけ登って、枝先からバルコニーにヒラリ飛び移り、
                    「ア〜」
                    …と、サプリを誘います。
                    ついでにゴハンを食べて、ひと休みして、消える、というパターンですが、いったいどこに帰るのやら。
                    愛想なんぞカケラも無く、威圧オーラ、バンバン発しまくりなので、野良ちゃんとしては不利な性分なんですが…。
                    そんなムーが顔を出したのは、姿を見なくなって十日も経った頃の深夜でした。
                    その日は雨で、おまけにひどい落雷…
                    ピカッ!……ドッカ〜ン!
                    ピカッ……ドッカ〜ン!
                    ピカッ…ドッカ〜ン!
                    ピカッドッカーン!
                    夜になると、サプリが妙に外を気にしています。
                    「ニャ〜(出して!)」
                    「だめ」
                    「ニャ〜(出して!)」
                    私はすぐ譲歩します。
                    「すぐ戻るのよ」
                    と、送り出しました。

                    しばらくして玄関ドアを開けると、サプリが待ち構えていました。そしてサッと、闇の中に走り、そして、
                    「にゃ……」


                    誰かを連れてきました…ムーです。
                    「久しぶりだね!待ってて!直ぐゴハン持って来るから!」
                    そして玄関前で待つムーの前に、
                    「いっぱい食べなさい!」
                    と、カリカリを置いたのですが、口をつけません。
                    そこで次は猫缶です。
                    「さあ食べなさい!」
                    ところが、これにも口をつけません。
                    「あれっ、おなかいっぱいなの?」
                    「…………にゃ……」
                    ムーらしからぬ、弱々しい声です。
                    「ムー、どうしたの?」
                    と、その時でした。
                    「ギャアッ!」
                    玄関の小さな灯りが、ムーの、変わり果て
                    たシルエットを捉えたのです。
                    夜明けを待って病院に駆け込むと、即入院です。衰弱があまりにも酷く、重度の脱水ということで、なんと、治療不能というところまできていたのです。
                    点滴を続けて三日後。やっと手術が可能になりました。
                    そしてムーは、右眼球を失いました。
                    「もう野良は無理でしょう、ハンディがあるから、」
                    というのがT先生の見解ですが、
                    「アンタ、モトがコワモテ(強面)じゃん、ハクがついたっていうか」
                    「にゃっ!」

                    と、前向き(?)です。
                    しかし、
                    「あと一日遅かったら死んでましたよ」
                    と、T先生…。
                    猛暑の中、豪雨の中、雷雨の中…ムーはそんなギリギリまで、いったいひとりで、どんだけがんばっていたんでしょう。
                    どんだけ痛くて苦しくて心細かったでしょう。それでもムーは癒える日を信じて、こらえていたのです。
                    たぶん様々なことでこらえてきたから、こらえるのが得意だったのでしょう。
                    でも今回は勝手が違いました。こらえてもこらえても、ちっともラクならない…。
                    それでムーは最後のチカラを振り絞って、ヨイショッと、立ち上がりました。生きるためのヨイショッです。
                    そして、落雷の中を歩き出しました。ズブ濡れになってもヨロヨロヨロヨロ…歩き続けました。
                    ほんとうにほんとうに、がんばりました。
                    退院してきたムーは今、我が家でのんびり療養中というわけですが、
                    「そろそろ観念して家族にならん?」
                    「………」
                    さてさて、どうなりますことやら。


                    三匹の仔猫たち Vol.19(通算Vol.309)〜マイ スウィートライフ ウィズ キャッツ〜

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                      そろそろお盆だから…というわけでもないんですが、先日柴田久美子さんにお会いして、彼女のライフワークである犂納茲〞について、たっぷりお話をうかがうことができました(8P・9Pをぜひお読みください)。


                      柴田さんのお話の中で特に興味深かったのは、牋簑里ら抜け出た魂が乳白色の光のような形状をしている〞というくだりです。
                      普通なら、
                      「見たことないし…」
                      とか、
                      「へ〜…」
                      なのですが、私は1万%理解しました。
                      「どうしてそんなに解るんですか?」
                      と不思議がられるほどですが、答は簡単です。
                      「そういうのは、とっくに猫たちが教えてくれましたから」

                       

                      時は二十年ほど遡ります。
                      1997年12月24日、天気は大雪。
                      この日シルクちゃんは、私の腕の中で息をひき取りました。


                      今にして思えば、まさに猜いて逝かせる〞という理想的犂納茲〞の実践でしたが、当時の私はそんなの、知ったこっちゃありません。
                      抱いて逝かせた後も、抱きっぱなしです。

                       

                      そこに、見かねた母が割り込んできました。
                      「はよ、火葬しちゃらないかんやろが」
                      あんまり言うので、受入れました。

                      シルクちゃんを抱いたまま、観葉植物をかき集めました。そして祭壇を作りました。
                      ひいらぎの赤い葉が、花の役目をしてくれました。

                       

                      毛布を敷いてシルクちゃんを横たえるとまた、声をあげて泣きました。
                      そしてカメラを手にし、シャッターを切り始めました。
                      見る影もなく痩せ衰えたシルクちゃんでしたが、灰になってしまうことへの、せいいっぱいの抵抗でした。

                       

                      年が新たまっても、涙は止まりませんでした。職場であれ通勤列車の中であれ、おかまいなしでした。


                      そんな或る日のことでした。
                      涙でボ〜っと霞んだ目が一点に釘付けになったのです。遺体の写真が出来上がって来ましたので、ナニゲにそれを眺めていた時のことでした。
                      「シルクちゃん!」
                      なんと、シルクちゃんがやわらかな乳白色の光になって、自分の遺体とツーショットしてるじゃないですか!


                      狠θ〞という形容がピタリで、むしろ新しい命を感じさせます。しかも、
                      「もう苦しくないよ。ホラ、こんなに元気になったよ。だからもう泣かないで」
                      …と、そんな思いがビンビン伝ってきたものですから、
                      「ワカッタ!」
                      やっと、涙が止まりました。


                      柴田さんの話に戻りますが、犂納茲〞ことは猖賃腓淵┘優襯ーのバトンを渡される〞こと。

                      …とすれば、たくさんの猫たちを看取ってきた私は、どんだけ膨大なエネルギーを受け取って来たんだろうと。


                      たぶんそうなんでしょ、ヘコタレませんもん(笑)


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